個人的な好みの問題としては‥

一年戦争の全体をプレイさせるゲームと聞いて、わたしが勝手に期待していたものは‥、
a)全体の戦略を問うゲームで、細かい戦術的なことには煩わされたくない
b)一年戦争の重要な争点である兵器開発部分が上手く再現されている
ということだった。
結果としては、bの期待は満たされたが、aの期待は満たされなかった。戦闘はかなり戦術的な色彩があり手間が掛かるし、1ヶ月を2ターンに分割し、さらに1ターンに両軍2回ずつの行動フェイズが設けられている。結果として、一回の行動フェイズは1週間単位な訳で、これを一年分やるのは個人的にはかなりしんどい。
わたしは「森を全体として見るゲーム」が好きなのだが、本作は「木まで見るゲーム」を志向してデザインされている印象だ。
どうしてもTVアニメ原作があり、個々の機体、個々のキャラクターの活躍がエピソードとして存在しているので、こういう風にデザインしたくなるし、特にテストプレイヤーなどの声を入れていくと必然的にこういう方向へ進化するのだと思う。結果としてTVに登場したほとんどのキャラクターが登場するし、かなりマイナーな機体まで登場する。その意味で本作は多くの人の期待に答えていると思うし、良くできていると思う。
わたしのaの目的を果たすには、戦況に影響を与えないような重要でないキャラクターや試作機などは登場しないことになるだろうし、それはむしろ多数派のTVアニメの熱心なファンには支持されないのだろう。残念ながら少数派意見であると思われるわたしは、もし自分が欲しいゲームを求めるのであれば自分で作るしかないのかも知れない。
繰り返しになるが、本作は「アニメーションの個々のエピソードまでカバーしつつ全体をプレイできそうなゲーム」を求める人にとっては、かなり高い水準で応えてくれていると思う。その目的について出来はかなり良いと思う。