ショートゲームレビュー:アンタレスの反乱

bqsfgame2008-10-12

1981年のTSR社のミニゲーム
ミニゲームのシリーズと言うと、なんと言ってもメタゲーミングのマイクロシリーズが有名だ。しかし、TSR社も少なからぬミニゲームを出版していた。中でも評判が高いのは、「彼らはプレザントヴィルを侵略した」と、本作あたりではなかろうか。
本作の舞台はアンタレスを回る第9惑星、アンタレス9である。人類の銀河帝国の拡張期の最前線に位置した同星系では、銀河帝国の力の衰えとともに独立派が台頭するところとなった。アンタレス9を支配する主要な7つの諸侯は、独立派と帝国派に分かれて戦うこととなった。
ゲームは典型的なヘクスウォーゲームのシステムに、外交的な要素を加えたものとなっている。移動フェイズ、戦闘フェイズ、補充フェイズ、同盟フェイズを交互に繰り返すことで進行していく。シナリオは3つあり、基本シナリオであるシナリオ1では、反乱派の二つの諸侯が、帝国派の1諸侯と帝国軍を相手に反乱を開始するところから始まる。ターンが終了するごとに両陣営は新たに1諸侯を味方に加えることができる。こうして、第1、第2ターンの同盟フェイズに各陣営1諸侯ずつを加えて全7諸侯が参入し、アンタレス9は全面的な紛争へと突入する。
ゲームに登場するユニットは、歩兵、装甲部隊、ホバークラフト、降下兵などのほかに、特殊能力を持つ各諸侯のユニットと、謎の古代文明の残したアーティファクトユニットがある。各諸侯とアーティファクトの特殊能力は非常に強力だが、このゲームでは各勢力の部隊補充能力が高く、どんどんユニットは消えるが再登場するようになっている。
勝利条件は諸侯の持つ城塞や資源拠点をどれだけ支配しているかによって競われるようになっており、ゲーム期間は10ターンに設定されている。
このほかにシナリオ2では非人類勢力が侵略者として登場したり、シナリオ3ではミニゲームでありながらマルチプレイヤーズで諸侯が現地での支配を争うようになっている。
本作はプレイしやすいオーソドックスなルールに、様々な勢力や個性的なユニットを散りばめてプレイアビリティーとプレイバリューのバランスの良いところでまとめている。
惜しむらくはミニゲームコンポーネントではプレイしにくいので、自分で拡大コピーして大き目のコンポを作り直した方がいいかという気がする。また、諸勢力の状態を表示するためのプレイエイドがあった方が良い気がするので、手は掛かるが自作した方が良いだろう。この程度のゲームにそこまでするのか‥という見方もあろうが、本作は前述したようにプレイアビリティとプレイバリューのバランスと言う点で絶妙のところにいるので労力は見合うだろうという気がする。
このゲームが往年のTACTICSの付録ゲームにならなかったのは大変残念だ。
オンスロート」がコマンド誌の付録になったところを見ると、TSR社のゲームが版権的にやれないということはないようなので、もし可能ならどこかの付録ゲームに今からでもならないものだろうか。隠れた佳作の一つだと思う。