率直な感想

過酷な環境の南米中央部での戦争の実態を学習するヒストリカルシミュレーションとしては、非常に興味深いと思った。
しかし、競技ゲームとしての面白みという点では物足りなく感じた。上述した通り戦闘正面が狭いので機動の妙味などは薄く、誰がやってもなるようにしかできない印象を受ける。
パラグアイ側の勝利条件がアルゼンチンへの先制攻撃の成功にあるため、パラグアイはアルゼンチン方面へ主力を前進させることになるだろう。このときに、ランダムイベントであるアルゼンチン内部でのメンドーザの反乱が起こると、アルゼンチン軍は兵力を大幅に引き抜かねばならなくなり、これがいつ起こるか次第なところが大きい。
三国同盟側はブラジル側から圧力を掛ける間接アプローチと、アルゼンチン側にブラジル軍増援を展開する直接抵抗のバランスをどうするかというのが問題。
結果としてパラグアイは何処でアルゼンチン攻勢によるサドンデス勝利を断念して防御態勢に転換するかがカギとなってくるという感じだろうか。
その意味では戦略的な意思決定を強いるシチュエーションが提供されており、つまらないというわけでもない。
しかし、二本しかない戦闘路で一次元の戦いを二つ並行してやっているようなプレイ感は、その意思決定の醍醐味をもう一つ色褪せたものにしているように思う。
もっとも北アフリカ戦のように一次元の戦いを一つだけやっているようなプレイ感のゲームでもエキサイティングになり得るのだから、これがつまらないと決め付けるのは早計に過ぎるのかも知れないが。