トラヤヌス

紀元1世紀の五賢帝の一人。
外征を続けローマ帝国の最大版図を実現したことで知られる。
巨大な版図を持つローマ帝国は、その巨大さ故に様々な外敵を抱え、その侵入から帝国の版図を守る戦いを続けなければならなかった。トラヤヌスは、こうした守りの戦いに追われることから脱却し、外征に打って出た。
トラヤヌスの最初の外征は、現在のルーマニアに当るダキアであった。自ら軍を率いて遠征し、ダキア王デケバルスを討ち取りダキアを帝国領土へと編入した。
さらに、イラン高原に位置していたパルティアへと兵を進め、アルメニアメソポタミアにまで進んで最大版図を実現した。
東はメソポタミアから西はイベリア半島まで、北はブリテン島から南はエジプトに至る巨大な帝国である。
外征で優れた戦果を収めた皇帝であるが、内政でも先帝ネルウァの例に倣って元老院と協調して国を良く治めた。
こうした成果のため、ダキア戦争の勝利を記念したトラヤヌスの記念柱がローマに建っており、至高の皇帝と称され当時の貨幣にも刻まれた。