前述の通り、トラヤヌスからのミランダ系列のシステムの延長線にあるが、かなり複雑になっている。
メインエンジンは、チットプルアクティベーションになっている。
両者が交互に共通のアクティベーションチットプールから引いて活性化していく。当然、共通だから相手のチットを引くことがある。この時の対応が異なっている。
原則は、
ローマが蛮族のチットを引いたら、その部族はお休み。
蛮族がローマのチットを引いたら、ローマに渡してローマが活性化する。
したがって、ローマ軍はチットの数だけ活性化するが、蛮族は50%の確率でしか動けない。
さらに、お馴染みの戦略チットの中に「連合」と言うより「野合」と言うべきチットがある。相手のチットを引いた時に、これを使用すると相手のその勢力を活性化して自分の好きなようにできる。
これはどうなのかとルールを読んだ時には思ったのだが、ソロプレイしてみたところ、意外にそれらしかった。
1:ローマ軍が野合するのは、この時期のローマでは内乱が絶えず、皇帝位の継承争いなど絶えなかったことを反映していてそれらしい。
2:蛮族が野合するのは、そもそも蛮族同士が固定的な味方として扱うのが不自然であることからもっともらしい。
と言うことである。
特に開始時に戦略チットで優位にあるローマ軍は第1ターンでは、蛮族の中でも強力なものがチットプールに残っている間は「野合」チットを温存しておき、それを引いた時には自分で活性化して他の蛮族を襲わせたり、少なくともローマ帝国から遠ざかる方向に兵力を移動させたりすることを計画的に行える。
戦略チットの優位が崩れてくると、そうも行かなくなってきて蛮族プレイヤーによる内乱も起きるし、全体として蛮族の帝国への侵入も進んでくるのだろう。
ただ、雰囲気としてはそれらしいのだが、作戦研究などの視点からするとチットプルによるランダムさが大きく、しかも自分のユニットがきちんと自分のコントロール下にないので、非常に考えにくいゲームだと言う気がする。
誤解のないように補足すれば、そうした混迷こそが混乱期のローマを適切に表現した問題作だと思うので、帝政ローマ期に興味のある人は必見の作品だと思う。