>砲撃と工事だけしかしないので、これで面白いのかと思わされますが、これが意外に面白い。
このゲームの最終的な目的は、連合軍が要塞のバスチョン(稜堡)を二つ捕獲できるかどうかです。捕獲できれば連合軍の勝利、できなければロシア軍の勝利です。
連合軍は攻勢開始線から塹壕を掘り進んでいきます。縦壕であるサップを引き、その先端に横壕であるパラレルを展開します。パラレルを3ユニット展開すると、そこからさらに縦壕を掘り進む資格が得られます。そうやって城壁に向かって接近した位置に壕を掘り進んでいくのです。
壕を掘るためには毎ターン設定されている建設ポイントを使用します。それと同時に、一つ壕を建設するには歩兵ユニットを一つ作業中として裏返して建設した壕に配置しなければなりません。資材と人的資源のマネージメントが必要になっています。連合軍は兵員が潤沢なので、通常は人が足りなくて壕が掘れないということはないでしょう。
ロシア軍の城砦は各稜堡はレベル3でゲームをスタートします。しかし、連合軍の砲撃により損害を受けてレベルが低下します。また、レベルの最高値は8まで設定できるので、城砦の強化工事も実施できます。こちらも同様に毎ターン支給される建設ポイントと、作業要員である歩兵の配置が必要です。3レベルまでの修理には歩兵だけいれば良いのですが、4レベル以上への強化にはその稜堡に工兵が配置されている必要があります。しかし、工兵ユニットは1ユニットしか存在していないので、どこを強化するかを戦略的に判断して工兵を派遣しなければなりません。
連合軍は塹壕を掘り進むことで、どこの稜堡を狙っているかを明らかにしなければなりません。ロシア軍はそれを判断してどこの稜堡を強化するかを決めなければなりません。
その時に、毎ターンの砲撃の戦果の具合や、ターンごとの建設ポイントの過不足、人的資源の配分などを睨んで、いろいろな駆け引きがあります。
特に重要なのは連合軍の砲撃により、稜堡の損害だけでなくロシア歩兵の損害が出ることです。重要な稜堡は強化したいのでロシア軍は歩兵を作業要員として配置します。しかし、重要なるが故、そしてロシア軍歩兵が配置されているが故に、そこは砲撃の目標となり結果としてロシア歩兵の損害が嵩むことになります。
この時にいろいろな綾があります。稜堡の強化が進むと損害が出にくくなるのでロシア軍は積極的に強化を促進します。しかし、そのためには多くの歩兵を配置するので、砲撃が戦果を挙げたときの犠牲が大きくなるリスクがあります。
連合軍は砲撃するのに、できるだけ砲を前進させて砲撃した方が戦果が挙がります。その一方で、前進することでロシア軍の砲撃の効果も受けやすくなります。損害を受けた壕は修理なければならず、修理が完了しないと、さらに前へは掘り進めません。
また、ゲームは秋に始まりますが、すぐに冬になります。冬の間は、突撃もできないのですが、実は建設工事もできなくなります。しかし、砲撃はできますので、互いに損害だけが嵩むようになります。この冬の間をどうマネージメントして過ごすかの考え方も重要になります。
いろいろ書きましたが、砲撃と建設と人的資源の配分と冬の過ごし方との間で、結構いろいろなことを考えながらプレイする必要があり、ただ砲撃と工事をしているだけでもなかなか面白いのです。
そして、決定的な要素として、連合軍は掘り進んだ壕の中に歩兵を前進配置しておき、決定的な突撃をいつ実施するかを睨んでいます。ロシア軍もそれは百千承知です。突撃された場合には、防御には歩兵と防御射撃のできる野戦砲(通常の砲撃で使う要塞砲とは別のユニット)が重要になり、これらを何処の稜堡にいつ配置するかが決定的に重要になります。
かくて睨みあって散発的に砲声が響いているだけのような戦場ですが、プレイしているプレイヤー間では様々な駆け引きが緊張感の中で行われているのです。
この面白さは、脇から観戦してもなかなか見えにくい部分かも知れません。