千葉会:フォークランドショウダウンを対戦プレイする

対戦してきました。
感想としては、非常にコメントしにくい作品だと思いました。
ルールのエラーは少ないように思います。
プレイバランス的には、1点差でアルゼンチン軍の勝利で終わったので、日本語ヴァリアントのバランスは悪くないと思います。
にも関わらず、非常にイビツな印象が終始否めませんでした。
ゲームは勝利条件、勝利得点によってプレイヤーの行動を誘導します。その意味では、このゲームは勝利得点の付け方にイビツなものがあります。

1:公海上でアルゼンチン軍艦艇が沈むとアルゼンチン軍の得点になる
2:アルゼンチン空軍はいくら落ちても失点にならない
3:イギリス艦艇が沈めばアルゼンチン軍の得点になる
4:イギリス軍はアルゼンチン本土に攻め込めない

どういうことかと言うと、1と3の結果、イギリス軍がフォークランド諸島海域に進出してくるまでの公海上では、アルゼンチンが水上戦を挑むと、どっちの船が沈んでもアルゼンチンの点になります。
アルゼンチン空軍は損害を気にする必要がないので、とにかく全力出撃してきてイギリス艦艇や地上部隊を空襲しまくります。もちろん制空権はイギリスが握っているので、アルゼンチン空軍は落ちまくりますがそれは一切失点になりません。
結果として、普通のウォーゲームからすると、異常な意思決定がゲームの勝利得点上は有効なことになり、すごくプレイしていて気持ちが悪いゲームになっています。
また、4の都合があるので、イギリス軍が取れる得点源がフォークランド諸島の地上目標と、アルゼンチンの地上部隊の撃破に限られています。
アルゼンチンの水上艦艇は、上述の1と3の結果、公海上では喜んでドンパチしますが、それが終わると撤収してしまい出てきません。なぜならフォークランド諸島海域で沈められると失点になるからです。結果として、一旦、公海上を通過するとアルゼンチン海軍は店じまいするので、後はイギリスは勝手に上陸して勝手に目標を次々に確保します。でも、それで取れる得点の限界は見えているので、それでイギリスが勝ちきれないと判っていればアルゼンチンはセーフティリードを握って勝ちきってしまうのです。
結果から言えば、公海上での水上戦でアルゼンチンが取った得点が、イギリスのフォークランド諸島で取れる得点を上回った時点でゲームは終わってしまいます。後はイギリスが無抵抗のアルゼンチン防衛隊を掃討する作業をやるだけのゲームになってしまいます。そして、その作業は勝敗には一切影響しません。
と言う訳で、とっても変なゲームだと言う感想を持ちました。
申し訳ありませんが、このゲームをもう1回プレイすることはないだろうと言う気がします。
ちなみにデザイナーは、イライラ戦争のフィリップ・シャープです。