お布施の話し:囲碁とウォーゲーム

bqsfgame2014-06-27

最近、ウォーゲーム界では「お布施」と言う言葉をあまり聞かなくなった。
ウォーゲーム冬の時代だった90年代に、たまに新作が出ると「プレイするつもりがなくても義理で買う」ことをお布施と言った。要は、買って上げないと次の企画が成立しなくなるので、メーカーさんに出版を継続していただくためにお布施を払う気持ちでお金を出していると言うことである。まぁ、あの頃はそんな時代だったのだと思う。
同じようなことが囲碁界では、打碁集について今でも言えている。
筆者などより識者の意見を読んでいただけば良いと思うので、下記参照。
http://fujiedaigo.jugem.jp/?month=201108
だからと言う訳ではないのだが、筆者は打碁集は並べない割には買っている。これも一種のお布施な訳である。
筆者は小林光一先生が同郷でもあり、またその著書の明快な語り口が好きなことからファンである。しかし、上記にある通りで小林光一打碁集は実績に反して少ない。上記の記事の翌年に「飛翔の譜」が登場したし、若手時代に現代囲碁名勝負(現代囲碁大系)に入っているので、皆無とまでは言えないが。
個人的に関西棋院棋士の打碁集が少ないのも残念に思っている。本田先生、東野先生あたりは、NHK杯に優勝したこともあり、なにかしらあっても良いのではないかと思う。「世界一厚い碁」の異名を取る今村俊也九段の打碁集も、あったら並べて見たいと思う。無冠とは言え番碁に出てきたことはあるので材料はあると思うのだが。
無冠の棋士の打碁集は必然的に出にくいのだが、その意味では碁界七不思議の無冠の帝王、山城宏九段の打碁集も文庫版しかない。ただ、需要はあるようで先日、某囲碁将棋専門古書店に行ったら、高価格で売っていてビックリした。アマゾンで調べてみると、やはり高価格なのでフロックではない模様。山城九段も「素人には判りにくい強さ」の持主なので、そこらへんを解き明かすような平成版「芸の探求」のような書籍が欲しい所だ。昭和四天王+依田九段でどうだろうか?
「浸透:山城」、「明晰:小林覚」、「逆転:王立誠」、「華麗:依田」、さて片岡九段の副題はどうしたものか? 「巧緻:片岡」とか? ちょっと判りにくいか?
これに「反骨:本田」、「恬淡:東野」、「鉄壁:今村俊也」を加えて全8冊。個人的には半分以上は買うのだが、そんなに売れないだろうか?
打碁集の最近の朗報は、関西棋院若手の村川七段の「青春の軌跡」が出たことだろう。関西棋院の7大タイトル番碁未経験者の打碁集が出るのなど、基本的に在り得ないことである。多分に井山六冠王のライヴァル台頭の意味を評価しての出版だと思うが、良いことだと思う。
もっとも平成四天王を積み残したままに、井山、村川の打碁集が出てくることには悩ましい部分もある。
井山と言えば、師匠の石井邦夫九段がマスターズ杯で活躍しており、思えば石井邦夫九段も7大タイトルには無縁でも打碁集があっても良い実力者の一人と思う。関西総本部を支えた意味も含めて、井山台頭の立役者として注目されている時期に実現して欲しい。中部総本部で、羽根親子の「中京の親子鷹」で泰正九段の打碁集が実現したこともあり、関西総本部からも実現して欲しい。