刑事コロンボを見る(37、38、39)

bqsfgame2014-06-28

通番37話目は、さらば提督です。
この回は異色の作りになっていて、100分のロングバージョンです。
知らなかったのですが、シリーズ最終作品として予定されていたそうで、監督はマクグーハン、ゲストスターはロバート・ヴォーンと豪華です。
ヴォーンと言うと、個人的には「大統領の密室」の首席補佐官フランク・フラハティに尽きます。世間的には、「荒野の7人」の7人目と言った方が通りが良いでしょう。「ナポレオン・ソロ」と言う人もいるでしょう。
本シリーズは真犯人の犯行シーンから始まる倒叙形式が定番。本作では、被害者である提督に対して娘夫妻の動機が発生する冒頭から始まります。そして、決定的な犯行シーンは映らずに、いきなりヴォーンが提督の死体を処分する作業をしている所が映ります。で、シリーズの常識に従えば、真犯人はヴォーンのはずと思って見ていると、半ば過ぎにヴォーンが死体で発見されてしまいます。
で、最後の謎解きに関係者一同を集めて、部下二人にいろいろと説明をさせるコロンボ。真相が最後まで見えないエピソードです。
以下、ネタバレですが、ヴォーンは、酔っぱらった妻が提督を殺したものだと信じて、それを事故に偽装したのでした。ですから、偽装の主犯はヴォーンです。でも、真犯人は妻ではなく別にいて、その真犯人が妻の犯行に見せ掛けていたのです。それをヴォーンが二重偽装したために、話しが非常に複雑になり、あちこち辻褄が合わなくなりました。
途中で第二の犯行が起こるパターンは、これまでは真犯人が偽の犯人を偽装して最初の犯行を押し付けるためでした。例えばロンドンの傘とか。ところが、本作では真犯人が、偽装犯に真相を突き止められかけて殺したというパターンです。これは新機軸であり、シリーズ最終回に、シリーズのこれまでの定型の先入観を利用して視聴者を欺くと言う凝った作りでした。
非常に面白いアイデアだと思うのですが、残念ながら複雑すぎて上手く説明しきれていないように思います。そこが惜しいでしょうか。
通番38話は、ルーサン警部の犯罪です。
犯人役は、ウィリアム・シャトナーです。カーク船長ですが、吹替えが山城新伍なので、あんまりカーク船長らしくはありません。
TVシリーズの名警部役を演じる俳優の犯罪と言う、食った設定です。謎解きとしては、衣装、小道具、アリバイなどの謎を順に解いていきます。犯人が苦労して作ったアリバイは、意外な程あっさりと見切られてしまいます。アリバイを崩すだけでは不十分で物証がいると言うのは、本シリーズにしては珍しくちゃんとしています。最後は銃ではなく、詰め替えた弾丸に付いていた指紋が決め手。
食っていると言えば、冒頭のルーサン警部の撮影で出てくる番組内の共犯者役が「さらば提督」の犯人だったりします。他に、チェコフ航海士も出てきたり。遊び心満載の回です。
ちなみに、被害者の夫のアリバイに関わる秘書(愛人)役で登場するシエラ・デニスは、ピーター・フォークの妻です。シリーズ初登場ですが、この後はちょくちょく出てくるようになりました。綺麗な人です。画像がデニスです。
通番39話は、黄金のバックルです。
女系家族の積年の遺恨に絡んだ偽装殺人です。
犯人役のジョイス・ヴァン・パタンは、貫禄があって役の設定とは裏腹に綺麗な女性だと思います。彼女は古風なオールドミスですが、実は婚約者を姉に奪われた過去があり、父親から任された博物館が生き甲斐です。ところが、それを兄が売却すると言い出したので殺害計画を立てます。
この回は謎解き部分が判りにくくて、今回見直した上で、ネット上のサイトの謎解きの説明まで読んでようやく判ってきました。
犯人が姉の娘に罪を被せるために盗品を彼女の部屋に隠すところまでは見ていて普通に判ります。それが成功して姪は逮捕されます。
そこにコロンボが当の盗品を持参して灰皿代わりに差し出すと、姪は疑いもせず灰皿として使います。此処でコロンボは彼女が盗品が何なのかを全然理解していないことを確信し、犯人は別にいると結論します。
で、最後はその盗品が犯行当日に吹き込まれた解説テープに登場するのを確認して、盗品が盗まれたのは犯人が言うような2週間前ではなく、犯行日以後であることを立証。で、実は盗品は皿ではなくバックルで、犯人もそのことを判っていなかったのでテープをそのままにしてしまったと言うことなのですね。
説明されると判りますが、犯人とコロンボの会話は、二人の間で理解が成立した所までで説明を止めてしまい深入りしないので非常に判りにくいです。