刑事コロンボを見る(34、35、36)

bqsfgame2014-06-09

通番34話目は、仮面の男です。
ディカプリオの映画ではありません。
原題は「アイデンティティの危機」なので、邦題の出来が悪いですね。
今回の一連の放送では、28話の「祝砲の挽歌」がスキップされたので、マクグーハン初登場になりました。お馴染みのナンバー6です。
本作ではCIAの凄腕エージェントとして登場するので、ますますナンバー6風でしょうか。凄腕に加えて、経歴も、邸宅も、趣味も凄すぎると言う設定です。
ただ、脚本自体の出来は悪いように思います。
先ず、動機がさっぱり判りませんでした。地元の一刑事の関知すべき所ではないと言うことでしょうか。ハッサン・サラーもそうですが、そうなのかも知れないけれども殺人事件の謎解き物としては動機不明は減点だと思います。
次に凄腕エージェントにしては迂闊すぎます。まず朝鮮戦争の英雄と言う派手すぎる軍歴は秘密にしておかないと不味いでしょう。遊園地で、半年で2個しか出ないと言う満点を、二人同時に出すのも目立ち過ぎです。当然の如く記憶に残ってしまいます。遊園地の記念フォトも、自分たちがメインの画像だけ処分して、他にも映っていないかどうか確認もしていないと言うのも甘すぎます。
あと気付かなかったのですが、最後の謎解きが不十分だと言う意見がネットにありました。最後のコロンボの指摘は、アリバイ崩しにはなっていても、犯人を特定できるような証拠ではないと言う指摘です。
ちなみに脚本は、「忘れられたスター」と同じドリスキル。この人は倒叙物の謎解きとして魅せるより、人間ドラマに重点を置いているのかも知れません。
あと吹替えの追加部分が目立って気になりましたが、これもスペシャル版の100分なのですね。昔はレギュラーサイズにカットして放映したので、カット分の小池朝雄さんの声がないのでしょうか?
通番35話は、闘牛士の栄光です。
お疲れ気味だったせいもあって、途中で3回くらい寝てしまいました。要するにつまらないのですね‥(^_^; 謎解きとしての焦点が何処にあるかかがわからず、どこに興味を持って見て良いのか判りませんでした。
ハッサン・サラー、仮面の男に続いて、犯人が一種の権力を持っていて居丈高である点が共通していますが、どうもこのタイプの犯人のエピソードは見ていてスッキリしない物が多いように思います。
通番36話は、魔術師の幻想です。
これもスペシャル版90分作品ですが、長さを感じさせない出来の良いエピソードです。
犯人役は、シリーズではお馴染みのキャシディで、演じるは大魔術師サンティーニ役です。実際にいろいろなマジックを演じてみせるのですが、かなり練習したのでしょうか?
ヘッドアクトと呼ばれる偽装応答がアリバイ作りに利用されます。コロンボは手品道具屋まで調査に行って覚え、これを同僚刑事相手にやってみせます。そうしておいてサンティーニのアリバイが崩れていることを説明して、サンティーニ追及を一緒にやらせるのです。
最後の決定的な証拠は、ボール型のタイプライターのインクリボンに残った転写メッセージになります。
見落としと言えばそうですが、これはタイプライターに詳しくないと知らないことなので止むを得ないでしょう。普通のタイプライターはインクリボンが一回使い捨てではなく、往復して複数回使用するのが当前の時代でしたから。筆者は、妹がなぜかタイプライターを欲しがって父に買ってもらった時に興味を持って一時期勉強したので知っていましたが、まぁ普通は知らない。同じことは熱転写型リボンのワープロでも起こるのですが、近年のインクジェットやレーザープリンターしか知らない世代にはいずれにしても何のことか判らないでしょうか。テクノロジーを使ったトリックや謎解きは風化するのが早いですね‥(^_^;
余談ですがサンティーニの娘のデラの吹替えは、モンスリー吉田理保子さんです。割と頻繁にシリーズに登場します。