刑事コロンボを見る(44、45、69)

通番44話目は、攻撃命令です。
犯人は心理学者のメイスン先生。妻の浮気を察知して、まず妻を殺したらしいのですが伏線程度。本編では愛人の同僚を、ドーベルマンを使って襲わせます。そのためのキーワードが攻撃命令です。
この回は、犯人が映画マニアと言う設定で、特に「市民ケーン」の引用が目立ちます。キーワードも同作品から引いていました。
なかなか手の込んだ殺人方法なのですが、手が込んでいればいるほど証拠も多く残るので、謎解きとしては難しくありません。床に落ちた藁、人懐こいドーベルマンたち、天井のフック、被害者のデスクにあった浮気の写真。
劇中でコロンボも指摘しますが、犯人の教授の知的レベルからすれば余りに証拠を残し過ぎです。特に最後のを犯行後に処分しようとするのはお粗末。
謎解きで犯人を追いつめるシーンで、犯人が窮地に陥ってドーベルマンコロンボを襲わせようとするシーンがクライマックス。もちろん、それはコロンボの術中に嵌っている訳ですが。
通番45話は「策謀の結末」です。
これは、所謂「旧シリーズ」の最終回に当り、スペシャル版の100分です。が、意外に長さを感じさせないテンポの良い作品です。犯人役が詩人と言う設定で、軽妙な台詞を連発しているからでしょうか。
犯人たちはアイルランドのテロを支援してアメリカから銃を輸出する組織。しかし、見掛けはテロ反対を訴えるアイルランド平和組織と言う作りです。で、銃の輸出に当って接触した仲買が不当に価格を吊り上げて来たのを組織への反逆と受け止めて処刑しました。
拡張版だしテンポも良いのですが、謎解きのレベルは高くありません。
犯人が被害者に最後の贈り物としてアイリッシュウィスキーの瓶を蹴り転がしたのは不用意です。増して、そのウィスキーにいつもの癖でダイヤで傷を付けて、それをそのまま犯行現場に残すのは子供心にも迂闊すぎると思った記憶があります。
テロリストだった詩人を崇拝していることをラジオ番組で喋ってしまうのも、組織の真相を秘密にしている人間としてはレベルが低すぎます。
途中から登場する銃の元売りのキャンピングカーのディーラーが良い味を出しています。
今回の一連の土曜午後再放送の最終回は、通番69話、新コロンボの最終話である「虚飾のオープニングナイト」でした。新コロンボは実はあまり見たことがなく、このエピソードはまったく初めて見ました。策謀の結末は1978年、本作は2003年。実に25年の歳月を経ており、ピーター・フォークの老化には驚きました。ちなみに76才の時の作品だそうです。
対照的に犯人は現代的で若く、それでも犯人の心理や瑕疵は不変であるかのごとく謎を詰めて行き、犯人の店のオープニングナイトに令状を取って踏み込み完全決着します。見事と言うよりは、風貌的にも「お疲れ様」と言いたくなるコロンボ像ですが、シリーズを通して不変のキャラクターと捜査方法が印象に残りました。