×鍵のない夢を見るを読む

bqsfgame2015-03-06

と言うことで、ようやく辻村深月直木賞受賞作です。
さくさく読み終りました。
オムニバス作品ですが、作品間には人物にも舞台にも共通性はありません。
出てくる犯罪は、万引きから、放火、さらには殺人といろいろです。例によって女性の心理描写を明晰に語る辻村作品の特徴は健在です。
その一方で、どうしてこれが直木賞なのかなとも思います。本作は、断片的なオムニバスと言うこともあって作品のインパクトとしては少し弱い気がします。これなら「ゼロハチゼロナナ」の時に受賞させた方が良かったのではないでしょうか?
文学賞メッタ斬り」で、直木賞は上げるタイミングがおかしいと言う指摘がありましたが、本書を読むとナルホドと思わざるを得ません。何作か安定した作品を書いて見せないとくれないというのであれば、新進作家への期待賞と言う本来の位置づけは失われているのですね。ウィキペディアにも既にそう書かれていますし‥(^_^;
読んでいると女性同士の関係は面倒だなと思うのは今回も同様。また、女性の男性との関係も男性側が考えているのとは全然違うのだなとも思わされます。
本書を読んだことで辻村作品は一区切りかなと思います。