書店の棋書コーナーに行ったら「世界一厚い碁」という文字が目に飛び込んできた。
すわ、と思って手に取ったら、やはり今村先生の本だった。
読んでみると、やはり今村先生が本を書くのは今回が初めてだそうだ。五十にして天命を知ると言う所か?
面白いのは、第1章が「継ぎ方」だということ。
「厚い碁」と一口に言うが、実はタイプの異なるものがいろいろある。この話しは、大竹先生の囲碁十訣にあった通り。今村先生も厚い碁の仲間であることは疑いないが、いわゆる「厚み」が好きと言うのとは少し違うような気がする。
本書を読んで改めて思うが、今村先生の棋風はご自身のプロフィールに書かれている通り「繋がるのが好き」なのだと思う。よく今村先生の石は、「盤中一石」になることが多いと言われるが、その理由は繋がるのが好き、言い換えれば「切られるのが嫌い」なのだと思う。その意味で、「薄いのが嫌い」という出発点が、「継ぎ方」なのだと思う。
また、巻末はご自分の対局を紹介されていて、ミニ打碁集になっていて嬉しい。タイトル挑戦2回、NHK杯準優勝2回という実績からして、当然あって然るべきなので、断片的な形であれ実現したことを素直に喜びたい。続きがあると良いのだが。