○天界の眼:切れ者キューゲルを読む

bqsfgame2017-06-02

ジャック・ヴァンス・トレジャリーの2冊目です。
今回は、切れ者キューゲルの連作短編集です。
正直に言って、「奇跡をなす者たち」と「宇宙探偵マグナス・リドルフ」が非常に良かったので、期待過剰になっていました。そうしたハードルの上がった状態をクリアするほどには面白いとは言えず、○の評価としました。
どこがいけないのかと言うと、切れ者と自称してはいるけれども、キューゲルは割と間抜けです。悪い商人に唆されて魔法使いの館に泥棒に入ります。見つかってしまい、遙か遠方に飛ばされ任務を達成するまで帰ってこれない状態に。
で、任務を達成して、大変な苦労をして帰ってきて復讐を遂げようとするのですが、その結末は間抜けとしか言いようがありません。
マグナス・リドルフは切れ者ですが、キューゲルは単なる道化者です。この主人公の魅力不足が全体の読後感を冴えないものにしています。
とは言え、全編の異世界情景はヴァンスならではですので、まぁそこは読むに値する出来映えです。