SFマガジン4月号を読む

最新号です。

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眉村卓追悼特集は、今までのSFマガジンの様々な追悼特集の中でも非常に良くまとまっていたと思います。特に、幅広いジャンルで作品を書いた眉村氏のジャンル別のまとめが、これほど奇麗に整理できるとは思いませんでした。

再録作品は、私ファンタジーの一作「夜風の記憶」とショートショート4本です。これに司政官から「照り返しの丘」。司政官は、まとめて読み直してコメントしなおすことにしましょう。「夜風の記憶」は東京勤務が長くなった主人公が学生時代を過ごした大阪へ帰阪して、昔、アルバイトしていたアマサロに辿り着いて自分と出会う話しです。独特の味わいがあって、とても良い作品と思いました。

草上仁さんの「降りてゆく」は、分断した階層社会を構成している未来の高層ビルで、ハイソという最上層に住む女の子が、飼い犬が転落したのを助けに下へ下へと行くお話し。

階層社会化した高層建築と言うと、バラードの「ハイライズ」など、いろいろと思い浮かびます。その中に在ってあっさり目の短編に仕上げて見せています。アイデアストーリーではなく、むしろ社会再構成の希望を感じさせる終わり方は、作者にしては意外な感じです。