図書館です。
高山羽根子の芥川賞受賞第1作にして、SFが読みたい2021の第3位。
レンズを通して映像を切り出すことをしてきた女系3代の物語です。
それぞれにドラマがあるのですが、全体としての繋がりは強くなく連作短編集に近い読後感です。「首里の馬」より物語性は強いので読み甲斐はあった気がします。
開港時にあったと言う港通り遊郭(現在の横浜公園付近)から説き起こします。横浜の遊郭は何度も大火にあって、高島町、さらに真金町と移ったそうです。筆者が高校の頃は黄金町界隈はラブホテル街としてわずかに名残を残していました。
作中後半で京浜工業地帯が廃墟化した後のそこでの新たな文化の発生が語られ、ここらへんが一番おもしろく読めました。