寡聞にして「ソークオフ」の記事を見るまで気づきませんでした。
突如として創元文庫からシルヴァーバーグの新訳が!
どうしていま?
訳者が伊藤先生なので、もしかして校正ゲラの状態で伊藤先生の家に眠っていたとか?
中黒さんが書いている通りで、GDWの「ベルター」で言う所の一人乗り宇宙船に乗って行って手掘りというシチュエーションから始まります。
で、当りを見つけたので火星で登記するのですが、地球に帰ってみたら、そんな登記はそもそも実施された記録がないという。で、地球で再登記しようとしたら、自分の市民IDが存在しないので登記できないという。
実はこれ、太陽系を牛耳る大企業の陰謀‥というお話しです。ヴォクトの「非Aの世界」を強く連想させますが、いわゆるエースダブル伝統の展開です(非Aの世界はエースダブルの一冊目)。
一種の企業クライムノヴェルかという展開をしていきますが、再び問題の小惑星に行く辺りからちゃんとしたSF(苦笑)になっていきます。
エースダブルの片割れなので、正味180ページくらいしかなく、捻りはありません。一日で呆気なく読み終わるリーダビリティの高さ。発電機時代のシルヴァーバーグかくありしという感じです。
ペアリングがヴォクトと言うのも「なるほど!」と思わされます。こちらは未訳の中編集だそうです。
エースダブルのリストがないかと思い探したら、こちらが良さそうです。