○小惑星ハイジャックを読む

寡聞にして「ソークオフ」の記事を見るまで気づきませんでした。

突如として創元文庫からシルヴァーバーグの新訳が!

どうしていま?

訳者が伊藤先生なので、もしかして校正ゲラの状態で伊藤先生の家に眠っていたとか?

中黒さんが書いている通りで、GDWの「ベルター」で言う所の一人乗り宇宙船に乗って行って手掘りというシチュエーションから始まります。

で、当りを見つけたので火星で登記するのですが、地球に帰ってみたら、そんな登記はそもそも実施された記録がないという。で、地球で再登記しようとしたら、自分の市民IDが存在しないので登記できないという。

実はこれ、太陽系を牛耳る大企業の陰謀‥というお話しです。ヴォクトの「非Aの世界」を強く連想させますが、いわゆるエースダブル伝統の展開です(非Aの世界はエースダブルの一冊目)。

一種の企業クライムノヴェルかという展開をしていきますが、再び問題の小惑星に行く辺りからちゃんとしたSF(苦笑)になっていきます。

f:id:bqsfgame:20211130090536j:plain

エースダブルの片割れなので、正味180ページくらいしかなく、捻りはありません。一日で呆気なく読み終わるリーダビリティの高さ。発電機時代のシルヴァーバーグかくありしという感じです。

ペアリングがヴォクトと言うのも「なるほど!」と思わされます。こちらは未訳の中編集だそうです。

エースダブルのリストがないかと思い探したら、こちらが良さそうです。

ACE Doubles Image Library - ACE SF Doubles - ACE books - paperback publishing history - science fiction (uncw.edu)