〇産霊山秘録を読む

ハヤカワ文庫JAのピックアップです。

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この企画も、我が赴くは蒼き大地、マンスリープラネット、吸血鬼エフェメラに続いて4冊目ですが、いずれもアタリばかりで非常に有意義だと思っています。

一冊本なのですが、全510ページの大作です。

日本史の闇に潜む「ヒの一族」と、彼らが利用していた産霊山のテレポートネットワークに関する伝奇小説です。

明智光秀は一族のもので、天皇家と世の平和を守るために信長の天下統一を支援したが、信長が産霊山である比叡山を焼打ちにしたので信長を見限ることにし、送り込んでいた光秀に信長を討たせたという本能寺異聞から始まります。

関ヶ原で活躍した真田十勇士の猿飛も一族のもので、彼は東の彼方にある見たことのない産霊山の芯の山へのテレポートを試みてタイムトリップしてしまいます。

江戸時代、老中、水野忠邦の改革の背後にも一族の影があったとします。

そして、タイムトリップしてしまった飛稚は1945年の東京大空襲に遭遇して、そこで身寄りのない子供たちを集めて育てるようになります。

アポロ11号が月面に辿り着くと、そこには猿飛のミイラ化した遺骸が発見されます。これを持ち帰った米国は、ヒの一族の特殊能力の秘密研究に取り組むこととなり、年老いた飛稚を拉致監禁します。

と言ったような戦国時代から現代までの長大な伝記小説です。

表紙とイラストが武部本一郎画伯とは知りませんでした。火星美女以外を書かせてもさすがの迫力なのには驚きます。

表紙はテレポートに用いられる三種の神器の鏡ですね。