〇惑星CB-8越冬隊を読む

谷甲州です。

ハヤカワ文庫JAとしてではなく、航空宇宙軍史としてです。

遥か未来、汎銀河人による惑星CB-8の越冬実験隊の話しです。

極端な偏心軌道、極端な自転角傾斜を持っている惑星で、長い夜(冬)は厳冬ですが、それを緩和するための人工太陽を配置してあります。この人工太陽からの集中照射がキャンプを危機に陥れてしまうことが判ります。

まず序盤では偏心軌道による異常気圧減少が観測され、任務を中止して極点拠点基地に撤収する場面から始まります。しかし、全員は生き残れそうにないため隊内で、学者メンバーと、フィールドスタッフの間で確執が。

フィールドスタッフは別の基地へ嵐の中を空中機動しますが墜落。なんとか辿り着きますが、そこまで来てから春に始まる人工太陽の集中照射を止めないと破局が訪れることが判り、再び極点基地へと氷河を登攀することに。

そこからは冬山登山小説の体になりますが、物語の局面は非常に深刻で、次々に主要人物も命を落としていきます。

外惑星動乱とはまったく関係のない遠未来なのですが、テクノロジーSFであることは共通しています。