〇走れ!銀八を読む

 大富豪同心の19冊目です。

 タイトルの通り銀八中心です。銀八の叔父が縁談を持ってくるのですが、意外にも銀八が江戸一番の同心、八巻様の手下として活躍していると聞いて引き上げます。この時に地元の銀八の幼馴染の娘の様子も見に来たので銀八が、てっきりその娘との見合いだと勘違いしてしまいます。

 で、その娘が奉公に入ったお武家様の蔵に閉じ込められた男を幽霊と見間違って銀八に助けを求めます。

 また、銀八の叔父はもともと村の苦難をご公儀に訴え出るためにも来ていて、その話しと幽霊話しが繋がります。

 それとは別に荒海の三右衛門一家を騙って悪事を働く別の侠客団が登場してきて、三右衛門は濡れ衣を晴らすために動き出します。

 例によってそれやこれやが最後には合流して大団円となります。

 合格点には達していますが、前の2冊が江戸を揺るがす大事件を鮮やかに解決したので、そこと比べると少し見劣りしました。

p304

「しかし‥。恐ろしい陰謀、巧みな金策でございましたな。表向きにはお旗本様が借金を拵えたようにしか見えませぬ。よもや、公領の銭がお公家様の懐に流れていようとは‥、この三国屋徳右衛門をもってしても、見抜けぬ悪謀でございました」

 と言うことなのですが、この朝廷工作も前作、前々作と同じく信濃守の老中出世工作だと言うのです。なかなか敵もさるもの引っ搔くもの。