侵入者たちの晩餐を見る(ネタバレ注意)

 昨年の「ブラッシュアップライフ」で一世を風靡したバカリズム脚本の単発ドラマ。
家事代行サービスに勤める薄給の社員に菊池凛子。同僚の平岩紙から社長が脱税して3億のタンス預金を自宅に隠していると聞き、これを盗んで半分募金して残りを山分けしようと侵入します。素人二人では心もとないのでサスペンスドラママニアの吉田羊を引き込んで3人で侵入。

 侵入される側の社長は、なんと白石麻衣で、アイドルを引退後に化粧品で当てて、次に「苦労している母親たちを支援する事業」として家事代行会社を始めたという設定です。
 で、侵入したのは良いのですが、残念ながらタンス預金を見つけることはできません。それどころか、社長が慈善事業に寄付している良い人であることを発見して犯行は中止にします。逆に日頃の習慣で家の中を清掃したり、冷蔵庫の賞味期限が近いもので料理を作ったり。で、予定外の晩餐となります。
 吉田羊が物音を聞きつけて客間に行ってみると空巣の池松壮亮を発見してしまいます。三人がかりで捻じ伏せて縛り上げます。不法侵入したが空巣を退治したので、これでトントンではないかと思う自分勝手な三人。そこへハワイに行っているはずの社長が帰ってきて、慌ただしくそれぞれ隠れます。そして、ワインを飲んで眠ってしまった社長を置いて菊池と平岩は脱出。しかし、不法侵入の罪に自分で納得が行かない菊池は戻って社長に謝罪することを提案。
 しかし、菊池が戻ると居眠りから覚めた白石がテレビ台の下に隠されていた池松を発見してしまい対峙している所に遭遇します。菊池は白石に事情を最初からご説明しますと言い、自分たちの誤解と侵入したことを全て説明。自分の会社の社員であることを把握した白石は、少し考えましたが警察には通報しないと裁断します。池松は「できれば自分も不問にして欲しい」と言いますが、「あなたはただの空巣で、わたしたちのようなバックボーンはないでしょう」と反論し池松だけは警察に突き出すように主張する菊池。
 白石はさらに考えた末に、結局、三人(菊池、平岩、池松)を許すことにします。
三人はマンションを出て駅へ向かいますが、そう言えば吉田はどうしたのだろうということになり、さらに再びマンションに戻ります。
 すると、白石の部屋の記念写真が自分の夫との不倫旅行のものだと気付いた吉田が、ハサミを持って白石に襲い掛かっている所でした。
 そんな吉田をソファベッドの下から飛び出して羽交い締めにして止めたのが、マンションのコンシェルジュの角田です。
 ここで時間は巻き戻って角田がなぜ忍び込んだかに。角田はアイドル時代の白石の熱狂的なファンで、勤務するマンションに彼女が住んでいると知りコンシェルジュのマスターキーを使って彼女の部屋を見に来たのでした。そうしたら、そこに池松が侵入てきたので隠れ、さらに三人組が入ってきて晩餐を始めたので隠れ続けていたのでした。
白石は不倫については「もう終わった話し(吉田は既に離婚済み)」と主張し、吉田を収めないと自分たちが許してもらったこともご破算になりかねないので、菊池は吉田を宥めます。
 角田については、ストーカーなので気持ち悪いしきっと再犯すると警察に突き出すことを他の4人は主張しますが、角田はわたしが吉田を止めて命を助けたからわたしもトントンと言うことでと主張。白石はさらに考えますが、結局、全員を許すことにします。
 で、最後に白石のエピソードに。実は白石が全員を許して警察に通報しなかったのは、警察の現場捜査に会うと本当に脱税していることの証拠が挙がってしまうから警察に立ち入らせたくなかったからだというオチになります。
非常に複雑な脚本で、最後に警察で菊池が警察に事情を説明しますが、いくら説明しても上手く説明しきれずに苦労している所で終劇です。

 なんとなく星新一の「気まぐれ指数」を思い出す混沌系サスペンスコメディで、まぁまぁ良く出来ていました。
番宣番組でバカリズムも言っていましたが、「世界の」菊地凛子が家事代行で掃除をやっていたり、黒ずくめで住居不法侵入したりするのが見所でした。