☆SFベスト201を読む

bqsfgame2006-01-21

不勉強にして知らなかったのだが、昨年夏に出ていた最新のSFガイドブック。
日本ではSFはジャンルが拡散希薄化してしまった印象があり、こういうものが改めて出てくれるとは思わなかった。率直に嬉しい。
巻頭に「‥1978年に出た『世界のSF文学総解説』と現在とのあいだを埋めようとする企画‥」と書かれているが、確かにあれ以来のまとまったガイドブックという気がする。したがって内容的には70年代末から最近までに翻訳された海外SFのリコメンド作品のレビュー集と言ったところだろうか。サンリオSF文庫の中期辺りから含まれるので、懐かしい感じのものまで入っており、同時に自身がSFから遠ざかった時代を経て最近まで総覧できる。
レビュアーが10人ほどで書いているのだが、それぞれのレビュアーのレビューも数冊分まとめて読めるので、レビュアーの評価にも役立つ。「あ、この人は自分と近いセンスだな」とか「この人の好みは自分とは違うな」ということが浮き彫りになる。
此処の作品を「読みたい」と思わせる喚起力では、データブック的な使い方に向いていた「総解説」よりもむしろ上だと思う。ただし、ジャンル内のサブジャンルの動向などが浮き彫りになるようなまとめ方などはなくズラリとレビューが並んでいるだけなので、一長一短かと思う。