×猫の地球儀−焔の章を読む

bqsfgame2006-12-10

意外なほどしっかりとした作りを部分的に持っているライトノベル
地球の軌道上の衛星、人間が死に絶えたらしく猫とロボットだけが生き残って世代を重ねている。猫たちの間ではかつての知識は伝承や信仰となって歪んだ形ではあるが生き残っている。猫は死ぬと魂になって地球に還るということになっている。その神聖な地球に生きたまま帰れるはずという信念を持って古の技術を復活させて現実に帰ろうとするのがスカイウォーカーと言われる外れ者たち‥という設定。
これとは別に残っているロボットを使ったバトルをする風習が残っていて、その職業がスパイラルダイバー、その中で最強のものがドルコンという設定があり、本巻の主人公の焔はそのスパイラルダイバーで強いものを求めて戦う内にドルコンにまで登りつめる。その前に立ちはだかった謎の黒猫がスカイウォーカーという展開。
学術的な部分でハードSF的にしっかりしているところもあり、世界設定も上述のようにしっかりしておりなかなかのもの。
ただ、個人的にはさっぱり感情移入できなかった。なんと言っても主人公がネコというのがいけない。次にアウトサイダーというのもいけない。
個人的な印象だが、イヌは擬人化して描いても違和感がない。理由は実際に犬を飼った感想として、犬は人間と思考回路が近いような気がする。それに対してネコはどこか次元が違うような気がする。擬人化されるのはどうも違和感が伴う。堀晃の短編で「猫の記憶」というのがあったかと思うが、猫は未来系列の記憶を持っており、過去系列の記憶を持つほかの生物とは異質だと言う話しだったと思う。個人的にはそうしたネコ観の方がピンと来る。