☆パラークシの思い出を読む

bqsfgame2014-09-28

「ハローサマー・グッドバイ」の続編。マイケル・コニイの遺作になるが、生前に完成していたが出版できずオンライン出版。死後に本になった。これほど面白いSFが出版困難だと言うのだから世の中、おかしいと思わざるを得ない。
コニイらしく、青春小説で、しっかりSFしている。前作の最後に氷河期を迎えたが、その数十世代後を描いている。
主人公の二人は、それぞれ前作の主人公カップルの直系の子孫だと言うことが後半で明確になる。
本書は、前作の結末の説明不足だった部分が補完されている。主人公たちは、生き延びられたのか? どうやって生き延びられたのか? 缶詰工場の地下シェルターの人々は生き延びられたのか? ロリンとは何者なのか?
前作もしっかりとSFだったが、本作は地球人と、もう一つの航宙種族が登場して、さらにSF的な背景は色濃くなった。
また、世代超越記憶と言う設定や、それが生む文化なども登場して、結構、盛り沢山である。そして、そうしたもろもろを絡めて、主人公が巻き込まれる父の殺人事件に関するミステリーを主軸に物語は動いていく。
500頁を越える大作だが、リーダビリティは極めて高く、アッと言う間に読み終わってしまうのが悲しい。
後書きに、コニイの最高傑作「ブロントメク!」の再版計画が言及されているが、今の所は実現していないようだ。コニイの再評価、新規翻訳が進んで欲しいものだと思うが、難しいのだろうか。いや、我が家にもコニイの未訳洋書が数冊あるのだが‥(^_^;
実は、本書の原書も購入してあるのだが、読まない内に訳が出てしまった‥(^_^; 嬉しい驚きでしたが。