☆新しい時代への歌を読む

2020年のネビュラ賞

伝染病とテロによって、大勢が参集するコンサートなどのイベントが禁止された近未来を舞台に、それでも人を集めて歌おうとするアーチストと、そうしたアーチストを発掘してホロビデオ映像で稼ごうとする企業のアーティスト発掘員の2視点で描く600ページの大作です。

シオンズフィクションと本書が消化されて、海外SFの積読棚が一気に軽くなった感じです。

それはともかくとして、音楽を題材にしたSFと言うとディッシュの「歌の翼に」が思い浮かびますが、彼の傑作に比肩するくらい魅力的な長編小説です。リーダビリティは少し悪い感じがしますが、物語の魅力が高いのでページを読み進めるとペースに乗っていきます。

主人公の一人が、もう一人の主人公に対して許されざる罪を犯す第二部。その後は、贖罪と和解の物語となります。詳しく書くとネタバレして興覚めしてしまいますので、このくらいに。

分厚いけれども、お薦めの海外SFの一冊と思います。