HALさんと遊ぶ会で蒸気の時代:月マップを対戦プレイする

bqsfgame2007-12-03

ゲームギャラリーのHALさんがやってくるというので遊ぶことに。
現在は入手難になっているという「蒸気の時代」の月マップをプレイすることになった。
「蒸気の時代」をプレイするのは、本体を一度やったきりなのでまだ二度目。最近は18xxをやれる環境があるので、なかなかユーロゲームと18xxの中間的なポジションに見える蒸気の時代には食指が伸びなくなってしまっていた。
しかし、この月マップは素晴らしく面白かった。蒸気の時代としてどうこうというのではなく、この月マップのゲームは宇宙植民地開拓ゲームとして独立して評価して良いのではないかと思った。もし入手が容易だったらSFゲームとして蒸気の時代と月マップをセットで購入したかも知れない。
月マップは独自の工夫がかなりあるが、いちばん重要なのはマップが球体であり、半球が昼、半球が夜に常に分かれていること。そして、夜の半球では全ての都市は黒の商品だけを必要とし、昼の半球ではそれ以外の4種の資源を都市の色に応じて必要とする。また、建設コストが高く資金バランスがタイトであることも特徴。
特に夜半球の需要が黒一色なため、黒の商品がすぐに枯渇してくる。そうすると夜半球の都市へのビジネスが成立しなくなるため、昼半球に荷物を運びたい訳だが、常に安定して仕事を確保するには両半球に自分の路線を引く必要がある。
また、このゲームでは最初は商品供給はランディングポイントと呼ばれる盤中央に一見無尽蔵なほどの量が置かれているが、ゲーム終盤ではランディングポイントは枯渇していく。つまり、地球からの物資に依存していた月社会が自立する時代へと移っていくのである。
こうした非常に独創的なルール、常に厳しいバランス、ストーリー性のある展開が相俟って、月マップはオリジナルの「蒸気の時代」を越えた独創的で完成度もそれなりに高い別の傑作になっているように思った。
惜しむらくはマップが少し横長すぎる気がするし、4人ではバランスが良く面白かったが、5人でも成立しているかは危うい気もする。また、かなりゲームずれしている人が集まってプレイしないと破産者が出てしまいそうな厳しさでもある。万人に薦められるゲームとはとても言えないのだが、ゲーマーズゲームである「蒸気の時代」に新たなオリジナリティと、かなり厳しいチャレンジを与えた拡張キットとして大いに評価できるのではないだろうか。そして、冒頭に書いた通り月植民地開拓ゲームとして独立して評価しても素晴らしいと思った。