ルールとコンポーネントは改善余地あり

そんな興味深い企画と、独創的で面白い戦略意思決定を要求する本作ですが、難点もあります。
第一に、ルールの書き方が良くありません。特に独創的な概念を使っているので、それを判りやすく説明することには、もっと努力して欲しかったと思います。ルールを読んでからユニットを並べて動かしてみて、「ああ、そういうことなのか」とようやく判ってきます。その意味では、最初の学習ハードルが高いゲームです。また、シークエンスが珍しい構成になっている都合で、ルールだけで判断できないことが発生します。ここらへんは、十分にテストプレイして戦闘の例などを強化してもらいたかった部分です。雑誌の付録ゲームですし、雑誌自体が早々に立ち行かなくなりサポートも不十分だったので、止むを得ないとも言えますが、非常に残念です。
あとチャート類は、マップ上に印刷されており、両軍が見やすいようになっていません。また、CRTがルール本文の最終ページにあるなど、いろいろと不親切です。対戦した時に相手の方も言われていましたが、プレイエイドを自作してプレイアビリティを上げないと、スムーズなプレイに支障あります。
また、一部、ルールの記載と、チャートの記載に齟齬があるようで、デベロップメントの途中の段階でどちらかの修正が忘れられたのではないかと思われます。BGGに質問を出していますが、30年前のゲームなので回答は期待できないかも知れません。
そんなこんなで、難点も多く手を掛けてやらないと快適なプレイをできないことは、頭に入れて置いてください。それを承知で、敢えてGCACWではなく本作をやるかどうかは、確かに難しい所です。
このシステムの続編が「シェナンドア:戦火の谷」で、連結もできるそうです。そちらのルールを読むと、もしかするといくつかの疑問は解消するのかも知れません。家のどこかにあるはずなので、探してみるつもりです。
先日も別のゲームに言いましたが、「筋は良いけれども、細部まで神経が行き届いていないゲーム」です。今回は、かなり褒めています(笑)。
GCACWシリーズの揃った今日でさえ、本作はプレイに値する物を持っています。メリーランドキャンペーンを1日でプレイでき、両軍の全く異なる性質と悩みを上手く反映していることは、非常に高く評価できます。ただし、コンポーネント的に出来の悪い子なので、手が掛かることは覚悟してください(笑)。