バトルオブブリテンだけのゲームとの違い

bqsfgame2008-03-01

バトルオブブリテンというのは、それなりに著名な題材で、決して扱いやすくはないと思うが幾つかの重要なゲームが出版されている。
TSR−SPIの「バトルオーバーブリテン」は、一部に「ウォーゲーム史上最高のボックスアート」と言う評価もある作品だ。デザイナーは、この分野の第一人者であるバターフィールド。TSR−SPIの作品はSPI末期に予定されていたものが多く、いずれ劣らぬ本格派のシミュレーション揃いだが、この作品はその中でも特にSPI末期らしさが漂う。ボックス裏のプレイ時間情報には、1〜75時間と書かれており、フルキャンペーンは尋常ならざる覚悟で取り組む必要がありそうだ。
ウェストエンドの「RAF」は日本語ライセンス版も作られた作品でプレイアビリティの高さとまとまりの良さでは今に至るもバトルオブブリテンの最高傑作ではないかと言われている。ウェストエンドはウォーゲーム冬の時代に活躍したメーカーなので、最近はあまり人々の口に上らず、むしろ往年のSPIあたりの方が今でも記憶されていると言う不遇ぶりだ。しかし、実はウォーゲームシステムの進化論の上では重要なポジションにあるメーカーだという気がする。バトルオブブリテンの舞台でもウェストエンドの作品が今も最高だと言われるのは、第三次欧州大戦作戦級で「エア&アーマー」が最高なのと同様、このメーカーのデザインの質の高さを表していると思う。
AH末期のスミソニアンシリーズの「ロンドンバーニング」は、ゲーム的に面白いものを作ることで定評のあるベン・ナイトの作品。ナイト作品だからプレイして面白いことは間違いあるまい。
最近の話題作としては、GMTの「バーニングブルー」がある。ヴェトナム戦争の空襲ゲーム「ダウンタウン」のシステムを利用した第二作だ。このゲームはルールが公開されているので眺めさせてもらった。
実はわたしはどれもプレイしたことがないのだが、レビューやゲーム情報を見る限りでは、「ブリテンスタンズアローン」とこれらのゲームには基本的な視点の違いがあり、そしてそれはバトルオブブリテンゲームでは共通しているように思える。
バトルオブブリテンゲームの面白さの源泉は、
1:航空機と言う貴重なハードウェアと、熟練したパイロットというもっと貴重なソフトウェア資源の資源マネージメントの面白さ。
2:上述の資源マネージメントに基づいたドイツ側の空襲計画の策定、イギリス側の迎撃態勢の策定。
という部分にあるように思う。もちろんイギリス側のみをソロプレイする場合は半分しかないが。
特に前述した「バーニングブルー」は、ルールブックをざっと眺めたところ、こうした空襲計画の緻密なプロットと、それに対する迎撃判断の成否に力点が置かれているようだ。戦術的な航空司令官の醍醐味に特に焦点を絞っている印象を受ける。
実物をプレイせずに乱暴なことを言わせてもらえば、バトルオブブリテンのゲームは、基本的には空軍司令官としての視点、そのベースでの作業や判断に軸を置いているものが圧倒的に多い。バトルオブブリテンと称してはいるが、実際は日本語の表現で用いられる英国本土航空決戦の方が妥当で、あくまで航空決戦のゲームなのだという気がする。
これに対して「ブリテンスタンズアローン」は、どこまで行ってもシーライオン作戦のゲームである。海空戦はもちろん盤上で再現され重要であるが、それもこれも上陸戦闘を睨んでこその海空戦である。そして、上陸したドイツ軍に対する補給の設定についての海上補給や、上陸後の鉄道転換のルールも重要である。つまり、どこまで行っても最後は陸戦ゲームになる想定でシステムもシナリオも考えられている。
史実でのロンドン空襲、ベルリン空襲の結果を見ても分かるとおり、残念ながら都市への恐怖爆撃では相手の国を降伏させることはできなかった。言い換えれば、バトルオブブリテンだけのゲームは、昨日語ったスターリングラード市街戦や、東部戦線キャンペーンゲームと同じように、史実よりも高い戦果を挙げられるかを競うことはできても、ナチスドイツが決定的な勝利を収めてしまうという可能性をプレイしている訳ではないのではなかろうか。
ここらへん実物をどれもプレイしたことがないので断言はできない。
しかし、ドイツ戦車と歩兵がロンドン市街へと突入することのないゲームと言うのは、オルタネートヒストリーへの扉を開くことはないような気がしてならないのである。