オルタネートヒストリーへのもっとも現実的な分岐点

bqsfgame2008-02-29

昨日も書いた通り、WW2ではスターリングラード市街戦が個人的な守備範囲で、旧SL、SPIのバトルフォースターリングラード、ASLのレッドバリケードなど、この瓦礫の山の戦いは幾度となく経験してきた。ストリーツオブスターリングラードもやってみなくてはと買ったのだが未だに果たせていない。
ところで、SFゲーム的に言えば、アドテクノス、XTRなどが得意としたオルターネートヒストリーという設定がある。実際の歴史とは異なる歴史を歩んだ世界を舞台にしたゲーム群だ。その中でも人気があるのが、WW2で枢軸軍が勝っていたなら‥というものだろう。アドテクノスの「レッドサンブラッククロス」は、そのタイトルの通り日本軍とドイツ軍がインド亜大陸で雌雄を決するという作品だった。XTRはアドテクノスに触発されたのではないかと言われているが、日本語版コマンドにも収録された彼らの初期作「ミシシッピバンザイ」は北米大陸でドイツ軍と日本軍が激突すると言うものだった。
本題に戻るが、枢軸軍が勝利してしまう別の歴史を設定する時に、現実問題としてどこにその可能性があっただろうか? 少なくともスターリングラード市街戦の時点では、既にその可能性は閉ざされていたように思う。スターリングラードソビエト軍を渡船場から叩き出してボルガの向こう岸に追いやったからと言って、ドイツが第二次欧州大戦に決定的な勝利を収められたとは思えない。
大きく見て独ソ戦のゲームとすると、モスクワ、レニングラードスターリングラードの3大都市について二つを落としたり、三つを落としたりすると勝利できると言う設定が多い。しかし、私見としては、これは史実のドイツ軍よりもプレイヤーの成果が上だったかどうかを判定するための基準であって、これをもってしてドイツが対ソ戦に勝利できていたであろうということではないように思う。
GDW/GRDのオイロパシリーズにウラルという拡張キットがあったり、XTRのプラウドモンスターにデス&デストラクションという拡張キットがあったりするように、スターリンはウラルの東に拠点を移して戦い続ける準備があったという認識の方が正しい気がする。ドイツ軍側の記述では、1941年秋のタイフーン作戦が成功してモスクワを落とせていればという意見が散見されるそうだが、事態はそれほど簡単には行かなかったのではないだろうか。
そうすると史実でも相当な大戦果を挙げたバルバロッサ作戦は、成功裡に終結してもドイツに決定的な勝利をもたらすには足らなかったのではないかという気がしてくる。だとすると敗着はもっと手前にあったことになり、それはイギリスを陥落させることができず、タフな大国ソビエトと開戦せざるを得なくなったとき、実はバルバロッサ初期の大勝利にも関わらずナチスドイツは長い長い敗北への導火線に火を付けたのかも知れない。
そうやって考えて行ったとき、もしイギリスを1940年に降伏させることができていたならば‥。これこそがオルタネートヒストリーへの現実的な分岐点だったのではないかと言う気がする。
バトルオブブリテンに勝利してシーライオン作戦がキャンセルされずに実行されていたなら‥。そのとき、それがイギリスを決定的に屈服させ得る作戦になったのだろうか? この疑問に応える本格的な作戦級ゲーム「ブリテンスタンズアローン」こそは、その向こう側にアドテクノスやXTRの幾多の架空戦史SFゲームを睨んだ、リアルにもっとも近いクリティカルポイントの架空戦ゲームだと言えよう。
そこまで考えていくと、「ブリテンスタンズアローン」こそは、B級SFゲーマー必携のアイテムであったのではないかという意外な結論に至るのである‥(^_^;
[つづく]