バトルオーヴァーブリテンの特徴を考えなおす

ロンドンズバーニングをプレイした時の自分の日記から引用です。

>バターフィールドの「RAF」は、同じ題材を同じくソリテアにしていますが、エリア式のマップを採用して、何処を戦略的に守るかの意思決定に重きを置いています。
>対して、ナイトの「ロンドンズバーニング」は、敢えてヘクスマップを採用し、本当は100機単位だった空戦を数機単位で模擬的にではありますが、海峡を越えて侵入してくる敵を迎撃して高度を選択して空戦するように見せています。言い方は悪いですが、シミュレーション的には全然正しくないのですがプレイヤーにバトルオブブリテンの空戦の雰囲気を感じさせることに成功しています。

さて、では「バトルオーヴァーブリテン」を、同じ題材の他作品と比較してみましょう。
RAF」は、RAF側のリソースマネージメントに焦点を絞ってソロプレイゲーム化することで、プレイアビリティを大幅に上げた「バトルオーヴァーブリテン」だと言えます。バターフィールドは、わずか3年で同じ題材の作品を出した訳ですが、その間の彼のゲームデザインの進歩、特に割きりの良さというのは目を見張るものがあります。
そこから逆算的に言えば、「バトルオーヴァーブリテン」はプレイアビリティ確保のための簡略化をせずに、バトルオブブリテンの姿を描くために必要と思われる要素は全部入れたフルスペックの英独航空決戦のゲームであると言えます。ただし、戦闘機の個々のドッグファイトを見せることは諦めており、1ターン=5日間というスケールで扱うことで全期間を終りまでプレイすることは意識しています。

そうした議論を踏まえて見直すと、「バーニングブルー」は、バターフィールド作品がオミットした部分、個々の空戦が見えるスケール(1ターン=5分間)を採用することで、一日の空襲の中でも時間的な厚みを出しています。このため、第一波の空襲が来た時に、果たしてこれが敵の全容なのか、第二波に向けての露払いなのかと言う駆け引きを感じることができるようになりました。
結果として、特に「バーニングブルー」では戦闘機狩りを目的とした戦闘機空襲の重要性が増しており、これを英軍が察知できるかどうかが焦点の一つになります。
「ロンドンズバーニング」は、形態は全然違うのですが、スケールや見せるものと言う点では、「バーニングブルー」の簡易ソリテアと見ることもできます。言い換えれば、「RAF」と「バトルオーヴァーブリテン」が一つのグループ、「バーニングブルー」と「ロンドンズバーニング」が別のグループと言う整理ができそうです。
「バトルオーヴァーブリテン」は、省略の度合いが一番低いのでプレイアビリティ的には厳しい部分があるのは否定できません。それでも45日間の全体をプレイすることを想定した扱いはしているので、プレイ不能と言うようなことはまったくないように思いました。基本ルールでの戦略ゲームはプレイ可能(終りまでとは言いにくいが)だと思うので、次の機会に取り組んでみたいと思います。