このタイプのハイブリッドゲームで比較的上手く機能している物としては、AHの「タイタン」があります。タイタンは、全体をプレイアブルにするためのアブストラクトな簡易戦闘方法がそもそも用意されておらず、いきなりディティール戦闘するしかありません。しかし、全体としても戦闘としても難易度が低いので、一日で終わります。
SPIのSFゲームの代表作である「スターフォース」は、フラクタル構造のシステムで同様に詳細な戦術ゲームができるようになっています。こちらは、戦闘になることが非常に少ないので、やってできなくはありませんでした。しかし、戦術ゲームの負荷が非常に重いので、全体としては戦術ゲームをプレイしており、その戦闘の背景を作るために全体があるという主従逆転した感覚がありました。
ハイブリッドなゲームシステムとして認識されることはありませんが、AH/VALLEYの「ハンニバル」も同じ効果を持っていると思います。このゲームの戦術戦闘は、部隊規模と将軍能力で手札総数が決まるカードを応酬するカードゲームになっています。カードのマッチングによる解決なので、非常にプレイアブルで、この部分だけ遊ぶこともありません。しかし、この戦闘ルールで戦術の応酬というフレーバー、将軍の能力と言う本作の重要要素が反映されているのは重要です。非常に上手くいっている例の一つでしょう。
プレイ不能に近いものとしては、ツクダのファンタジーゲーム「ミッドガルド」があります。「ミッドガルド」については、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20071230
ハイブリッドと言うのではありませんが、バトルオブブリテンの全体と個別戦闘の両方の雰囲気を見せるのに成功しているのは、「ロンドンズバーニング」です。本件についてはこちら。
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20150319
バトルオブブリテンをハイブリッドでやるという野望は、一人バターフィールドだけのものではありませんでした。実物を見たことがないのですが、エポックの「バトルオブブリテン」もそうだったそうです。本件はこちら。
http://slgplayer.exblog.jp/20871788/
そう言えば忘れていましたが、以前にハイブリッドシステムの話しをしたのは、「シェンノート最初の戦い」の時でした。これは、「エアフォース」クラスの空戦戦闘をハイブリッド化した作戦級ゲーム。デザイナーのお気に入りらしく、太平洋戦線で続編、続々編まで出ています。これも割と成功している事例と思います。詳細はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20130820
逆方向のハイブリッドシステム。
戦術戦闘が主題のゲームで、それを利用して全体的な作戦のストーリーを体感すると言う方向性もあります。空戦ゲームでは「ダウンインフレームス」がそうです。もともとがカードマッチングで空戦を再現すると言うヴェルッセンのアイデアが出発点。それ故に簡単に一回の空戦が遊べるのですが、こんなに簡単に一回の空戦ができるなら、シリーズでプレイしてキャンペーンが遊べるだろうというのが逆転の発想です。
陸戦では、ASLのヒストリカルキャンペーンなどは、ある意味では典型的な例でしょう。一回のプレイアビリティが高いとは言いにくいですが、非常に規模の小さい戦場が全体の構図の中でどのような意義を持っているかを見てみたいと言う野望の賜物です。