1983年のブリンの第二長編にして、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプルクラウン。
ブリンを読むのは初めてだが、本作について言えば、「あぁ、アメリカ人の好きそうなSFだな」と思った。様々な知的種族が緩やかな銀河共同体を形成しているが、内実は権謀術策が渦巻き、なにかあると小規模紛争は当たり前で銀河大戦に至る可能性も孕んでいる‥という世界。映画「スターウォーズ」やSFゲーム「トワイライトインペリウム」の世界を思わせる。
そんな銀河世界のローンチャイルドである人間が、銀河の始祖に迫る秘密を発見してしまい追われる状況を描く長編だ。好きな人にはたまるまい。
「好きな人には」と他人事のように書いたが、実は意外と乗れなかった。理由はいくつかあると思うが、テクニカルな話しとしては、登場人物が多過ぎ、感情移入できる人物が見つからない、並走するエピソードや陰謀が多過ぎてわかりにくい‥と言ったところか。
それとは別に「SFらしいSF」という表現が解説にも出てくるのだが、この概念がズレているような気がした。