○大竹英雄の強くなる囲碁の筋と考え方を読む

bqsfgame2008-07-09

名人戦棋譜を読んでいて大竹先生のゆっくりして見えて遅れない不思議な強さに改めて感心したので、大竹先生の本でその強さの一部なりと理解できそうなタイトルはないものかと探してみた。その中でタイトルを見る限りでは良さそうに見えたのが本書。
「手筋」の本は多いし、問題集形式のトレーニングブックも多い。本書はそんな中で一番最後の「考え方」に力点がある異色の書だった。題材は大竹先生の実戦が多いが、そこで実際に打たれた筋を示すばかりでなく、打たれなかった筋について解説し、それを踏まえてなぜ実戦の筋を選択したのかということを語ることに力点が置かれている。また、ワンポイントで打たれがちな俗筋について、なぜそれが悪いのかを分かりやすく示している。
この「打たれなかった筋」の解説に紙面を大いに割き、それを踏まえてどの筋を選んだのか、あるいは選ぶべきだったのかを語っている点が良いと思った。
ただし、これだけ紙面を割いて語っても語りつくせていない部分も多く、読んでいて理解するにはかなり棋力を要求する本だという印象も受けた。指南書というものの難しさを改めて考えさせられる。