SGC例会:アグリコラを対戦プレイ

bqsfgame2008-07-20

世界最大のボードゲームデータベースBGGのランキングでトップ10入りしている超話題の新作「アグリコラ」を初めて対戦プレイする機会を得た。インストのNさんありがとう。
さて、プレイ時間の方だが約3時間。押しも押されもしないヘヴィー級のゲーマーズゲームだった。しかし、プレイ時間は短く感じるほどで、非常に濃密で終始、悩ましい傑作ゲームだと思った。ただし、万人向けではないような気もするので、個条書きにして感想をまとめておきたい。
1)17世紀の農園経営のゲーム。各自が自分の農園ボードを持ち、そこに家を建て、増築して家族を増やし、畑を耕して麦や野菜を育て、放牧場を作って羊、豚、牛を飼うことができる
2)ゲームの基本的なメカニクスは、アクション選択方式。全プレイヤーが全員共通で提供されているアクションから一つを選んで時計回りに実行していく。一つのアクションは一人しか実行できないので、他プレイヤーが選びそうなものは早い者勝ち。
3)上記のアクションは3種類から構成されており、常にゲームで使用する固定アクション、プレイ人数により使用する追加アクション、そしてゲームの進行に伴って1ラウンド毎に1つずつ追加されていく進行アクションの3種類がある。アクションを実行するには自分の農園の家族コマを配置する必要があるので、ゲーム開始時には1ラウンドに各プレイヤー2アクションしか実行できない。増築して家族を増やすとアクション数が増えるが、上記の進行アクションも追加されて選択肢の方も増えていくのでバランスしている。
4)これ以外に膨大な量のガジェットとして、プレイヤーの能力を装飾する職業カードと、一回限りのボーナス効果を表す進歩カードがある。
と言ったところが概要か。
5)従来のユーロゲームは、ゲームの焦点を絞ってそれ以外は大胆に省略したり簡略化したりしてプレイアブルにしていたが、本作は面白そうなメカニクスやガジェットはみんな入れてそのままにしてある感じ。結果としてルールの分量もガジェットの分量も多くなっており、アメリカンヘヴィーゲームライクな仕上がりになっている。この辺りで好みがかなり分かれる気がする。その一方でこの点がアメリカ勢の意見が強く反映されるBGGでの高評価に繋がっているのかも知れない。
6)上述の職業カードと進歩カードは各プレイヤーに初期に7枚ずつ配布されトレード不可。各自がそれぞれのゲーム展開の道筋を配られたカード資源を元に計画する。このためそれぞれ異なるタイプの農場を作ることになる。また、職業や進歩の特殊能力によるいわゆるコンボ的な面白さがある。結果として毎回、初期資源の違いによって異なる展開を計画する必要がありリプレイアビリティが高い。その一方で初期資源による有利不利があるので、公平な競争は約束されていない。場合によっては初期手札が悪くて、計画に深刻な困難を感じることもあるのかも知れない。
7)様々なアクションが用意されており豊富なガジェットがあり、やりたいことがとても多いゲーム。しかし、上述した通り、初期には1ラウンドに2アクションしかできない訳で、数あるやりたいことの中から何を選び何を諦めるかと言う葛藤のゲーム。全体のラウンド数が少なく、また後半には強力なアクションが追加され選択肢の方も増えていくことから葛藤はいつになっても止まない。
8)アクション数を増やすには家族を増やせば良いのだが、一定ラウンド毎に家族に食料を供給することが義務とされており、この食料調達に悩む。家族が増えれば必要な食料量も増える。このため、ゲームはどこまで行ってもなかなか楽にならない。
と言ったところだろうか。
率直に言って、たとえばうちの奥さんと遊べるかと言うと全然ムリなくらいハードルが高いゲームだと思う。その一方で手札が変わるごとに作戦が変わるので、何度も遊びたいという中毒患者が出ているのも良く分かる気がする。
[つづく]