Guerra a Muerte をソロプレイする

bqsfgame2009-02-10

ATOの最新号として入手したのだが、既に次の号が出版されたようなので一つ前になってしまった。
ラテンアメリカ独立戦争を描いた作品。
主役はラテンアメリカの解放者「シモン・ボリバル」と言ったところだろうか。
ゲームは、メキシコ革命から始まり、1年=1ターンで進んでいく。全体で15年のキャンペーンだが、3つの期間に分けたシナリオもある。
ゲームシークエンス的には、両陣営の蜂起フェイズ、収入/部隊編成フェイズ、アクションフェイズ、勝利得点確認フェイズと言ったところだ。収入フェイズの直前に蜂起フェイズがあるので、敵の税収の高いエリアで蜂起して敵の完全支配エリアを相互部分支配に変更してしまうことができる。これを踏まえて収入が得られ、増援を編成する。そして、アクションフェイズには、敵を掃討していくというイメージだろうか。両軍の戦力に意外に差がないので、予想されるほどワンサイドな感じにはならない。革命軍は、それぞれの国の蜂起のピークにおいては強力な部隊を得られるし、一方、スペイン側も成す術がないというほどには弱くはない。
移動、戦闘関連のルールが意外に多く、特に騎兵の使い出がある。インターセプトができるのだが、通常と異なり、相手が自軍のいるエリアから離脱する時にインターセプトするようになっている。つまり、逃がさないためのインターセプトなのだ。この時に敵よりも騎兵ユニットが多いと有利な修整が得られるようになっている。
戦闘においては、イニシアチブを決めるのだが、この時も騎兵による修整が得られる。このゲームでは戦術優位表を使って、TTTのチットに当るような戦術優位効果が得られるのだが、イニシアチブのある側は2回表を使える。劣勢な側は1回だけだ。その結果により戦力を大胆に修整(この辺りもTTTに近い)した上で戦闘比を計算してCRTへと進む。
特に重要なのが、CRT上でのダイスの目±修整で、これがプラスになるなら2対1の攻撃でも敵を全滅させられる可能性が生まれてくる。逆にマイナスだと、攻撃側の全滅が起こりやすくなる。この「全滅」してしまうことは深刻なダメージなので、いかにしてCRT上でのプラスマイナス修整を確保するか、あるいは確保されてしまいそうなときには戦闘を回避するかが重要だ。
戦闘の回避は50%の確率で成功するのだが、此処でも騎兵による修整がある。したがって、確実に捕捉して撃破したい敵を攻撃するには敵スタックよりも多くの騎兵ユニットを連れて行けば良い。逆も真なりで、捕捉されて困るのなら騎兵ユニットを十分に持っておくことが必要だ。
そんな訳で戦術的なテイストも併せ持った戦略級ゲームで、ゲームは史実と同様にメキシコ革命から、大コロンビアの形成、さらにパラグアイ、ペルーへとローリングしていく。ここらへんの戦略的なストーリーテリングな展開は、ミランダの「トラヤン」や、「ベリサリウス」に似ているのではないだろうか。
なかなか醍醐味のあるゲームで、BGGの「ATO誌のゲームリスト、ベストファースト」において、ついにトップに立っただけのことはあると思う。