ショートゲームレビュー:ロボタンク

bqsfgame2009-09-21

ロボット系のプログラミング系ゲームの古典で独自の存在感を持っているのは、1994年にゲームスミス社が出版した「ロボタンク」です。2001年にファットメシアゲームズから新版が出ましたので、今でも新版は普通に手に入るのではないかと思います。
デザイナーは最近非常に評判が良いボードゲーム併用スタイルのRPG「バトルステーションズ」をデザインしているジェフ・シアデクです。
ロボタンク」は名前の通りに戦車型のロボット4台からなるフォーメーションを各プレイヤーが指揮するゲームです。このゲームで決定的に他のプログラミング系ゲームと異なっているのは、いわゆるプロットフェイズが定期的に自動的には与えられないことです。
各戦車のプログラミングデックは、一旦、与えると最後のカードが終わった後は最初のカードに戻るトグル方式で、自動的に連続でいつまでも稼動するということです。その中に移動カードと射撃カードを仕込んでおけば、ロボタンクは勝手に移動しては射撃を繰り返していくわけです。
射撃カードは非常に融通無碍に運用されるようになっていて、射撃カードが実行されるとタンクの射界内の最短距離の目標に向って自動的に射撃するようになっています。これは非常に便利で、このルールによって本ゲームは現実的に射撃が当るようになっています。ただし、敵か味方かの判別はしないのが難点です。このため、味方のロボタンクは早めに分散して異なる方向を向かせ、その上で射撃ルーチンに入るようになります。
射撃兵器にも種類が豊富に用意されていて、長射程のレーザーや、間接砲撃の迫撃砲、相手のタンクの方向を回転させてしまうディスプレイサーなど、いかにもと思うものが揃っています。
ダメージは相手のロボタンクのプログラムからランダムにカードを奪う形で与えるようになっています。
このためプログラミングのメンテナンスをする必要があるのですが、これはプレイヤーターンに任意の自分の一台を指定して、そのプログラミングカードを自分の手持ち札と組合せて任意に編集しなおせるようになっています。
プログラムカードのなくなったロボタンクは破壊されます。また、プレイヤーの手持ち札が完全になくなると、そのプレイヤーは敗北するようになっています。
このゲームは類似のゲームの中で異彩を放つ新機軸でした。しかし、実際にプレイすると、トグル方式で勝手に無限に動くロボタンクと言うのは、非常に収拾の付かない挙動を示すことになり、なかなか思ったようなプレイ展開にはなりませんでした。そんなこともあって二版では、扱いやすいようにルールが変更になりました。
それでも、自己完結した戦車が勝手に十数台もマップ上を動くゲームは、強烈なプレイ結果を生み出します。