やってみました。
うーん、これは非常に特殊なシチュエーションとスケールのゲームです。
コンパス作戦の最終盤。敗走するイタリア軍の退路に先遣部隊を送り込んで足止めし、さらに機甲部隊の主力で襲いかかって盤外への退出をどこまで阻止できるかと言うスローターゲーム(殺戮戦)です。
BGのレビューにあった通り、イタリア軍が弱いと言えども数はいるので、イギリス軍は質的な優位をフル活用しないと難しそうです。初見ではイタリアが数を頼みにスクラムトライを決められそうな印象を受けました。
イギリス軍の質的な優位としては、まず装甲部隊があります。
このゲームは戦術的作戦級のスケールで、機甲ユニット、対戦車ユニット、砲兵ユニットの特殊能力が顕著に表現されています。機甲ユニットのZOCには、非機甲ユニットは自発的に進入できません。ですから、イギリスは機甲部隊を線上に展開すると、イタリアの非機甲部隊はそのZOCに入れないので、突破できません。これは掩体の少ない砂漠での機甲ユニットの優位性を示しているのでしょう。
さて、掩体の少ない砂漠で優位と言えば、対戦車砲も同様に優位です。このため、射程に入ってきた戦車を仕留める能力は高く、機甲部隊キラーとして働きます。ですので、戦車は強いけれども、敵の対戦車砲の配置には要注意です。
砲兵も同様に強力で、かなり長い射程を持ち、ヘクス全体をターゲットに影響を及ぼします。ただし、そうした使い方をするのか、対戦車直接射撃に使うのかは難しい所。イギリス戦車を排除する手段が限定されているので、砲兵は対戦車直接射撃に使わざるを得ないのかも知れません。
勝利条件が独特で、純粋にイタリア軍の退出ユニット数だけで評価します。ですから、イギリス軍の損害は関係ない訳で、イギリスから見れば目的のためには使い潰してしまって構わないし、イタリアから見れば突破するために必要な敵の撃破以外の攻撃をする必要はないとも言えます。
そんな訳で、通常の作戦級ウォーゲームとは、かなりプレイの考え方が異なっている正に異色作です。
面白いと言えば面白いですし、際物と言えばそうとも言えます。何回か繰り返して、このゲームなりのスキームを身に着けないと勝つのは難しいかも知れません。120シリーズとは言いながら、プレイに意外と深みがある曲者ゲームのような気がします。