WOWOWです。ライアン監督特集の一環。
久しぶりに見ましたが、ライアン節全開で判りにくいのですが、何回か見ているので、かなり理解が進んできた感じです。
例によって時系列順に出てこないので判りにくいですが、出発点は師匠の水槽脱出術の事故で、ボーデンがアンジャーの妻(ジュリア)の手をすぐ解けないように縛ったため事故死してしまったこと。

それに対する報復としてアンジャーは、ボーデンの弾丸つかみに割り込んでボーデンの左手の指を吹き飛ばします。
その後、二人はそれぞれに一本立ちし、ボーデンが瞬間移動術でトップマジシャンになります。その種が見破れないアンジャーは、再婚した奥さん(オリヴィア)をボーデンのアシスタントとしてスパイに送り込みます。オリヴィアはボーデンの手帳を盗み出してアンジャーに渡し、アンジャーはそれに誘導されてコロラドにテスラを訪ねます。
ここからが判りにくいのですが、テスラの電気伝送マシンだというのはボーデンがアンジャーを騙すために仕込んだガセネタだとボーデンは語ります。

ところが、本作を見ていくとテスラの伝送マシンは実際に機能するのです。冒頭でテスラの実験所の庭に多数のシルクハットが転がっているのが映りますが、これは研究所内の伝送マシンから伝送されてきたシルクハットなのです。
ただし、伝送マシンは不完全で、マシン側に本物が残るのでテスラは失敗だと思って何度も実験を繰り返します。
しかし、実は伝送マシンは伝送はするのですが、同じものを複製して目的地に送るので、オリジナルがマシンにも残るものであるらしい(作中人物の誰も明言しない)のです。
アンジャーは、このマシンを英国に持って帰り、新・瞬間移動術をボーデンの興業の斜向かい劇場で始めるのです。
すると、今度はボーデンがアンジャーのトリックを見破るために劇場にやってきます。
ボーデンは「アンジャーは奈落が好きなのかい?」とオリヴィアに尋ねますが、すでにアンジャーとの関係が途切れつつあるオリヴィアには答えようがありません。
ボーデンはアンジャーが舞台から奈落に飛び降り、替え玉が入れ替わりに猿梯子を登って舞台に再登場するのだと推定し、アンジャーが落下してくる位置に水槽を設置します。
ここからが綺麗に説明できなくなりますが、想定通りにアンジャーは水槽に墜落して溺死してしまいます。これによりボーデンは殺人罪で有罪となり絞首刑になります。
その前にボーデンの妻は、夫が真実の愛を示してくれる時と、口先だけの嘘を言う時があるのを不満に思って、ボーデンの大道具倉庫で首を吊って自殺してしまいます。
ボーデンは自分も死刑になると娘が孤児院送りになってしまうので、娘の世話を道具係のパートナーのファロンに頼みます。
最後のシーンでボーデンは絞首刑になりますが、直後にアンジャーの前に姿を現します。アンジャーは彼(ファロン)がボーデンの双子の兄弟であることに気付き、ボーデンのタネが自分のと同じ替え玉であったことに気付きました。
しかし、アンジャーのタネは前述した通り電気複製機であり、彼は演じるたびに本物として生き残れるか余分な複製として処分されるかの重圧に圧し潰されそうだったと言うのです。
こうやって文章にしてみて、ようやく整理がついた感じです。
変な話しですが、「魔法」や「双生児」などでプリーストがテーマにする自己同一性の問題をクライマックスに持ってきて、まさにプリースト原作の映画になっています。ただし、原作小説の「奇術師」とは違うものになっています。
これを見たプリーストが、「なんで自分でこれを思いつかなかったんだろう」とコメントしたと伝わりますが、とても気持ちが判ります。
見る度に評価の上がる良い映画と思います。