☆逆転世界を読む

プリースト再読シリーズ第4弾。

蔵書のサンリオではなく、図書館で創元版を借りてきました。同じ安田均訳ですが底本が変わっているので、多少の差異があるそうです。

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プリーストの初期長編で、センスオブワンダーの塊です。主人公たちは、移動する都市に住んでいます。7層からなり、4条の軌条を敷設してその上を走っていく巨大構造物です。この都市は、常に逃げていく最適線を追って10日で1マイルの速度で進む宿命を背負っています。これから遅れを取っていくと、地上が後方へ向かって流下していくようになり、その流れに巻き込まれたら破滅してしまうというのです。

そのため、都市にはいくつかのギルドがあります。軌道を敷設するギルド、牽引を実施するギルド、地元原住民と交渉するギルド、前方を偵察するギルドなどです。主人公は、このギルドの見習い員として各ギルドを研修で回ります。その過程で徐々に上記の世界の謎が見えてくるという作りです。先を急がずに非常にじっくりと書かれており、そこは若い頃でもプリーストはプリーストなのです。

もう一つ、後方に遅れると上下次元が圧縮され時間が早く流れます。逆に前方へ偵察に行くと時間がゆっくりと流れるので都市に戻るとウラシマ効果が発言します。

プリースト作品の中では、「スペースマシン」と一二を争うSFらしいSFです。

けれども、どこか中世社会を思わせる都市のギルド社会の描写は、キース・ロバーツの「パヴァーヌ」を連想させます。小説として面白いという点も共通しているでしょう。

久しぶりに読みましたが、もっと頻繁に読んでも良い作品かなと思いました。なかなか暇がないのですが。

再読シリーズは一先ず終りにして、次は「隣接界」に挑戦する予定です。