プリースト、2017年秋の発売。
2年半も積んでしまいました。
その間に再読した「奇術師」、「スペースマシン」と、前訳の「夢幻諸島から」などを踏まえて読むのが吉ではありました。
SFからスリップストリームへと移動した感のあるプリースト。しかし、本書は割とSFに近い路線に戻ってきた印象です。
全体として見た時に、本書はハッピーエンドのラヴストーリーと言って良いでしょう。イスラム化された大英帝国の派遣カメラマンとしてトルコに渡り、そこでテロにより遺体不詳の状態で妻を亡くした主人公。
その主人公と、妻とが、この世界と、隣接する時空を行き来しながら互いを探し続ける物語です。時にWW2の大英帝国であり、時に夢幻諸島であったりし、人間関係や時系列に捩じれを含みながら物語は進んで行きます。
小説としての読み応えは一級品。ちゃんと読書ノートを取って再読したくなる点は、「夢幻諸島から」に通じる所があります。
迷いましたが、少しだけ歯切れが悪い感じがしたので「☆」にはしませんでした。