○聖なる侵入を読む

bqsfgame2018-05-14

暗闇のスキャナー4部作も3冊目まで来ました。
本書は初読になります。
「暗闇のスキャナー」や、「ヴァリス」と違って、ドラッグ文化色はありません。主人公は辺境の惑星に住んでおり、自分の妻の難病を治療するために地球へ向かいます。そこに神様が登場して、妻に処女懐胎して地球への潜入を試みます。神様が地球に潜入するお話しなので、聖なる侵入な訳です。
地球に着くと神様は産まれて少年の姿を取ります。彼の学校の友人として謎の少女ジーナが現れます。
一方で、辺境の惑星で聞いていた宇宙的人気のリンダ・フォックスが、なぜか地球ではまだペーペーの新人として主人公と知り合います。
割と明るめのディックSFと言った感じです。全体的に、「火星のタイムスリップ」を連想させる部分が随所にあります。末期の作品にしては、ドラッグが出てこない、雰囲気が明るい、結末がハッピーエンドと三拍子そろっていて読み心地は快適です。
逆に言えば、末期作品の必須構成ピースではないような気もしないではありません。その意味では、再読することはなかなかないかも知れませんね。