☆火星人先史を読む

bqsfgame2017-10-24

川又千秋です。
本書の第1章に当る「火星人たちの前夜」をSFマガジンで読んだのは昭和54年のことでした。筆者がSFマガジンを読み始めて2年目に入った頃でした。非常に印象的な短編でしたが、これが連作化されて、最終的に一冊に纏まったものが本書です。
火星は、SFにとって古くから重要な舞台です。赤い砂の惑星に植民する話しは、枚挙に暇がありませんが、本書もその一つ。人類は火星に植民するに当って、使役家畜、兼、非常食料としてカンガルーを品種改造したガルーを連れていきました。
そのガルーが地球の原種の滅亡を受けて火星人としての自覚を持ち、火星植民者に反旗を翻したというのが本書の設定です。
このガルーの反乱は成功し、劣勢となった地球植民者は、ガルー勢力の中に自軍のゲリラ部隊を潜入させることを試みます。つまり、ガルーの姿に改造した人間の特殊部隊を送り込むのです。主人公は、この一人です。
しかし、この部隊は複数の事情で失敗し、逆に火星人の使者として地球人と相対する運命となります。
とまぁ、ネタバレはこの位にして、後は本書をお読みください。
川又千秋が火星を舞台にする作品は、この後も何度も出てきますが、本書が一番鮮烈な印象を持っていると思います。まとまりも非常に良く、エンディングは人類側から見るとバッドエンディングですが、主人公にとっては発展的なものとなっています。
久しぶりに読むと、川又千秋も、やっぱり良いですね‥(^o^)