☆北満州油田占領を読む

実際には中公ノベルズの合本を読んでいるので半分しか読んでいない。カドカワノベルズ版で出版時の、シリーズ第1巻「北満州油田占領」部分を読了したと言う意味。
技術者の架空戦記を志向して谷甲州がスタートしたという現在も進行中の長大なシリーズ。
技術志向という点は、いくつか感じられる。
1:架空歴史へのトリガーを担うものが技術要素である
2:正史と異なる技術で生まれるテクノロジーの魅力が今後は出てくるらしい(憶測)
3:技術を担う技術者の人生や視点が強く反映されている
4:戦闘は意外なことであるがイロモノ色が薄く、むしろ地味である
この巻は1932年の北満州油田の発見までを描くプロローグ的な物語になっている。
石油が満州で見つかり、それを日本が確保してしまうことが、このシリーズのオルタネートワールドへの大きなトリガーとなっている訳だ。これは政治的にも軍事的にも大きな影響がありそうなエピソードだが、果たしてこの先どうなるのだろうか?
主人公は技術者だが、満鉄の大物、石原莞爾も出てきて接触する。
戦闘場面は非常に地味で、試掘現場の湿地を奪い合う、アップフロントに毛が生えたくらいの規模の戦闘が展開される程度である。ところが、逆にそれゆえのリアリティが感じられ、なかなか良いのではないかと思う。
主人公が夜間突撃をして、敵の掘りかけの浅い壕に転落するシーンを読んでいて、「ああ、敵から河川カードをプレイされたんだなぁ‥」と思ったりしてしまった。