ショートゲームレビュー:ニューロシマヘックス

カルカソンヌを初めとするタイルプレイスメントゲームの隆盛がしばらく前にあり、それ以前にトレーディングカードゲームの隆盛がある。そして、伝統的ヘクスウォーゲームがある。これら3つの要素を全て一つにしてコンパクトにまとめたものが、ニューロシマヘックスである。
プレイヤーは自分のアーミーを持つ。このアーミーは、各自固有のタイルから構成されている。
ゲーム開始時には、その中のヘッドクォータータイルを、マップ上の任意のヘクスに置く。
そして、プレイ開始後は、残りのタイルをランダムに積んだデックから毎ターン3枚になるまでのタイルを引き、その中から任意のものをマップ上に配置したり、プレイに使用したりしていく。
タイルは大きく2種類に分かれている。
第一のタイプは、部隊タイルであり、マップ上に配置し、ウォーゲームのユニットのように機能する。
第二のタイプは、インスタントタイルであり、プレイすることによって一回限りの特殊効果を発揮する。
この説明で、マジック・ザ・ギャザリングを思い出される方もいるだろう。
しかし、マジックでの戦闘と異なり、本ゲームではヘクスマップ上にユニットを配置して実施するので、よりウォーゲームライクになっている。
部隊タイルの能力としては、隣接するヘクスに向けて矢印が記載されていて、短い矢印は隣接へクスへの白兵戦攻撃、長い矢印は該当方向への長距離まで攻撃可能な射撃攻撃になっている。ユニットには、戦闘時の能力発揮順位であるイニシアチブが記載されており、イニシアチブの大きいものから順に解決していく。従って、射程で不利であっても、戦闘順位が早ければ敵を先に除去することができる。とは言え、白兵戦攻撃しかできなければ、敵に隣接していなければならず、そのためにはマップ上への配置の段階で敵に接することが必須となる。
マップに配置したタイルは原則移動しない。しかし、一部のタイルには自分のターンごとに1ヘクス移動できる機動能力があったりする。
アーミーによる個性付けはかなり強くなされており、機動と白兵戦攻撃に依存するアーミーや、長射程攻撃に依存するアーミーなど、かなり極端な違いが設定されている。
戦闘が発生するタイミングは3つあり、1つはインスタントタイルの戦闘がプレイされた時、マップ上のヘクスが全て埋まってしまった時、そしていずれかのプレイヤーが自軍のスタックを引ききってしまった時となっている。最後の条件が満たされた場合には、その時に発生する戦闘は最後の戦闘となる。
ゲーム終了時までに、相手のヘッドクォーターを破壊すれば勝利。それができない場合には、終了時にヘッドクォーターのヒットポイントが多く残っている方の勝利となる。
ちなみにヒットポイントが20から開始されるところも、マジックを思わせる。
システムから類推される通り、様々なアーミーが存在し得るので、オリジナルボックスにも既に4つのアーミーが付属している。この他にも拡張キットが既に2種類発売されている。セールスもまずまず好調なようなので、恐らく今後も発売される可能性があるだろう。
この新規軸は、類似のゲームがいろいろ出ても不思議ではないので、ファンタジー版とか登場してくるかも知れない。
作品世界の背景は、同題のポーランドのRPGだそうだ。陰鬱な最終永久戦争世界をイメージしており、ターミネーター未来社会のようなイメージだろうか。
基本的なメカニクスのコンビネーションに斬新さがあるという点では、ディスクウォーズ以来のヒット作ではないかと思う。その意味でもっと話題になってしかるべきだと思うのだが、オリジナルがポーランドなのと、Z−Manの販売力がFFGなどに比べると弱いためか、あまり見掛けない。非常に残念なことだと思う。
これを読んだ貴方、騙されたと思って流通在庫を買ってあげてください‥(^_^;