茨城会:レニングラード‘41を対戦プレイする

ちょっと旬は逃した印象もありますが、無事に対戦消化しました。
WaW誌のミランダの仮想戦です。マンシュタインの第56装甲軍団がバルバロッサ作戦時に一目散にレニングラードに突撃していたらと言う仮想設定です。このため、41年の7月から8月に掛けての1か月間勝負となっています。
1ヘクスは500mしかないのに、1ターンは3日間。で、10ターンまで。
最終ターン終了時に、ドイツ軍は盤上にある34個の勝利条件ヘクスの内、22個を支配していれば勝利です。
シークエンス的には、移動/防御射撃/戦闘と言う流れです。
特徴的なのは、ZOCがありません。普通の歩兵ユニットでも3ヘクスくらいの射程があり、迫撃砲だと16ヘクスくらい、野戦砲だと24ヘクスくらいの射程があります。ただし、防御射撃は隣接ヘクスにしか撃てません。
マップのほとんどがレニングラード市街なので、戦闘が行われるほとんどの場所は都市へクス。これに加えて勝利条件ヘクスはさらに防御効果が高くなっています。
で、事前に気づかなかったのですが、戦闘結果表の最後の行に何気なく工兵が参加した近接突撃では市街、勝利条件ヘクスの防御効果は適用されないとあってビックリ。これがあるので、ドイツ軍の工兵が異常に活躍するゲームだと言うことが判明しました。
プレイ負荷が非常に高いゲームで、目標ヘクスを決め、そこにどうやって近接突撃要員を隣接させるかを考え、移動しながら防御射撃を受け、もし防御射撃で突撃要員が飛んだら別のユニットを差し向けます。で、間接砲撃を割り当てますが、この時に所属制限があります。指揮官ユニットは所属制限を解除するのですが、これは地味に見えて重要。
なんだかんだ言って、相当に努力して攻撃しても攻撃成功は1ダイで1−2だけだったりするので、割とダイス依存系のゲームでもあります。
これで10ターンで22ヘクス取るのは至難の業ではないかと思っていたのですが、工兵ルールの運用は予想以上に効果が大きく、結局水戸さんのドイツ軍に23ヘクスを確保されて惜敗しました。
ソビエト軍側にも少なからず砲兵がいたり、少ないながらも工兵がいたりするので、随所で反撃することができ、中盤では勝利条件ヘクス数13〜14で数ターンに渡って揉みあう展開も。
結論としては、
1:ZOCがないゲームの常だが、非常にプレイしていて作戦を考えにくい。通常の作戦級の常識感覚が通用しない。
2:市街戦の激しい攻撃、ブロック単位での争奪戦の雰囲気は出ていて、ゲームとしては面白い部分もある。
3:1ターンが3日間、全体で30日間もある割には、補給関連のルールが全くなく、突撃先で孤立しても連絡線の回復努力すらせずに現地付近の勝利条件を何ターンも争い続けると言う非現実的な活動をする部隊が随所に登場する。
本誌のデザインコーナーを見ると、デベロッパーがタイ・ボンバだと書いてあって、なるほどいかにもボンバ先生らしいテイストだと思いました。ZOCなしの殴り合い作戦級ゲームと言えば、ボンバのフェンタイガースアーバーニングを思い出しますが、確かに非常に近い物を感じさせます。そういう意味では、ミランダのゲームではなくて、かなりボンバのゲームと言う印象が強い作品でした。
率直に言って、プレイしていて負荷の重さや現実感の不足が激しいので、もう一回やるかと言われると疑問。同じシステムのマニラ‘45を買うかと言われると、わざわざバックナンバーを探してまでは買わないかなと思います。ただ、目論見は成功している部分もあり、一見の価値もあります。なかなかコメントしにくい作品です。次の号が来るまでに消費されてしまって良い雑誌の付録ゲームとしてなら合格点と言うところでしょうか。ペリー・ムーアの「アサルト・オン・レニングラード」が折から復刻されたようですが、あれよりはゲーム的には面白いでしょう。