ショートゲームレビュー:箱館戦争

明治2年4月から5月に掛けての戊辰戦争の最終局面、函館戦争。
二人用のカードドリブンウォーゲームで、2時間くらいでプレイできるのではないだろうか。

マップ1枚
カウンター80個
カード20枚
ダイス2個
ダイスはもっとあった方が良く、望ましくは10個欲しい

蝦夷政府軍がマップ上に先にセットアップする。マップ上には6箇所の重要拠点があり、これらを争うことになる。マップは戦闘が行われた全域を示しており、函館市内はインセットマップになっている。
続いて新政府軍が上陸を実施する。

ゲームシークエンスは、
1:カードの更新
2:カードを使用した移動/イベント
3:戦闘の解決
となっており、新政府軍先攻で開始する。

最初の新政府軍ターンでは、デックから1枚カードをオープンにし、これをプレイする。カードには作戦ポイントとイベントが記載されている。作戦ポイントとしてプレイするか、イベントとしてプレイするかは任意である。
次の蝦夷政府軍は、新たにデックから1枚カードをオープンし、先のカードと2枚を合わせてプレイする。それぞれを作戦ポイントとイベントの任意の組合せでプレイできる。以後、毎プレイヤーターン、カードは1枚めくり、直前のものと合わせた2枚ずつをプレイしていく。
それぞれのカードが必ず両軍によってプレイされるので、全てのイベントが必ず発動するチャンスがある。また、強力なカードが出ると、自分が使えても、必ず続いて相手も使える。したがって、カードドリブンゲームで起こりがちな手札の偏りによる有利不利と言うのはほとんど感じない。

函館戦争は、函館から離れたところに上陸した新政府軍が函館まで複数の進軍路をどう利用して進軍するかが前半の焦点になる。後半は函館市内での激闘となり、戦闘でのダイスロールがホットになる。

函館戦争の行われた地形では、上陸地点も進軍路も制限されている。これが蝦夷政府軍の優位である。しかし、兵力的には陸海軍とも新政府軍が優位にあり、時間の制限を別にすれば新政府軍は必勝であろう。
その中で蝦夷政府は、どこまで粘れるかがポイントになる。

ゲームは20枚のカードデックが使用されると前半終了。その時点で6箇所の拠点の内、3箇所を新政府軍が占領していれば勝利。そうでなければ後半に入り、デックをもう一周する。その間に新政府軍が6箇所の拠点を占拠するか、五稜郭に突入できれば勝利となる。最後まで新政府軍の勝利を阻止すれば蝦夷政府は勝利することができる。

非常にプレイしやすく、今まで筆者がプレイした範囲のウォーゲーム日本史のゲームの中で一番プレイしやすいのではないかと思う。シチュエーションの作戦的選択肢の狭さが懸念されたが、少ないユニット数と短いターン数の中で最善の成果を得る必要があるので、新政府軍もかなり考える良いゲームになっているように感じた。
逆に蝦夷政府軍は、劣勢と言えどもカードの出方次第では海戦を仕掛けるチャンスもある。また、盤中最強の土方の活躍も期待できるところで、必敗のシチュエーションをやらされるという感じでもない。
箱館戦争もので初めてプレイして面白いゲームが出たと言って良いのではないだろうか。