☆張栩の実戦に学ぶコウの考え方を読む

bqsfgame2011-09-24

非常に難しい棋書。
筆者も一応はペーパー有段者だが、内容的には難しすぎて自分の力にはならなかったと思う。
ただし、読み物としては非常に面白かった。
特に張栩の「勝つために心掛けていること」と言うコラムはナルホドと思った。後半に難しい判断が残るように、盤上にいろいろな仕掛けや味が残るように難しく打っておいて、後半に時間を残して自分は正解を渡っていき、相手にプレスを掛けているというのだ。
こういう棋風の人と打っていては、考え方を変えないとなかなか勝たせてもらえないのは無理もないと感じた。
方円書庫で見たときから題材としては貴重だし読みたいと思っていた。読んで見て、内容に嘘偽りはまったくない。有段者以上限定、張栩ファンお薦め、それ以外の人には用のない本だろう。
ただ、囲碁と言うゲームの潜在的な幅の広さを知る意味では、一通りの種類のコウの言葉の意味が判る人は読んで見て良いと思う。二段コウ、花見コウ、一手ヨセコウなど、意味がわかっていることは本書の前提条件。それらを改めて解説したりはしていない。そうした様々な種類のコウを実戦でどう張栩棋聖が活用しているかと言う本なのだ。
コウだけに絞って、これだけの解説になってしまうのだから、普通の新聞棋戦の解説欄では張栩棋譜の全貌を全く伝えられていないのではないかと言う不安は強く感じる。