○アルジェリアの歴史を読む

bqsfgame2012-06-30

アルジェリア独立戦争に疎いので、図書館で借りてきた。
実に700ページの大作、定価8400円なり。
昨年の10月に翻訳されたばかり。
700ページの内の実に160ページがアルジェリア独立戦争に関する記述になっている。
古代に関する記述はほとんどなく、フランスの植民地支配以降の話しばかりである。
アルジェリア独立戦争に関する記述だけでも十分なボリュームがあるが、世界史の時間に教わった記憶もないのでいくつかポイントをピックアップしておく。
1:アルジェリアは、植民地ではあるが、フランスにとっては本土に準ずる扱いをしていたので植民地以上に密接な存在であり、その独立を許容するのは容易でなかった。
2:独立戦争はゲリラ戦争であり、ゲリラ戦争で用いられるあらゆる手段が用いられ、大変、悲惨な戦争となった。
3:戦争は泥沼化し、後のアメリカにとってのヴェトナム戦争と同様にアルジェリアにとって悲惨な、フランスにとっても大変な負担となる戦争となった。
4:その結果として、アルジェリア内部でも主張の異なる勢力が戦うようになり、フランス内部でも主張の異なる勢力が衝突した。
5:泥沼化した戦争の解決のために、大戦の英雄ドゴールが再び担ぎ出されたが、意外にも彼は戦争の負担を冷静に判断して独立容認の方針を打ち出した。
6:ドゴールの方針を容認できない独立拒否派はクーデターを起こし、一時はアルジェリア駐留の空挺部隊がパリに逆侵攻するのではないかとまで噂された。ドゴールは一度ならず暗殺の危機に晒された。
7:最終的にドゴールは意思を通してアルジェリアは独立した。
8:その結果としてアルジェリアにいたヨーロッパ系植民者はフランスへと脱出せざるを得なくなったが、彼らはフランスではピノノワールと呼ばれ差別されることとなった。
9:戦争中にフランスに味方したアルジェリア人は、独立後に独立政府による報復を受け、多くが処刑され、またフランスへと脱出したものもフランスに安住の地を見つけることは容易でなかった。
10:アルジェリア独立戦争は、現代にもなお多くの課題を残しており、その全容が記述されたとは言えない状態にあると言う。