○華竜の宮

bqsfgame2012-08-11

いろいろと揶揄されることの多い小松左京賞からデビューした上田さんの作品を初めて読んで見た。
大作。リーダビリティは悪くないのだが、ところどころ単調で冗長になる部分もある。少し肩に力が入りすぎている印象だろうか。
様々な内容を盛り込まれいるが、一つ分類するとすれば破滅テーマSFだろうか。破滅テーマの常だが、結末が苦く再読するのに気が重い。しかし、力作であることは疑いない。
官僚が主役で、惑星規模の危機に対処するところは、司政官を髣髴とさせるところもある。 プルームテクトニクスが題材なところは、日本沈没を髣髴とさせるところもあり、日本の第一世代SF作家へのオマージュのように感じられる側面もある。
登場人物の魅力が高いと言う指摘が各所にあるがそれはその通り。その魅力的な人物たちの懸命の努力にも関わらず、破滅は着実に訪れる。その重圧感をどう思うかが評価の分かれ目か。