ショートゲームレビュー:シューティングスターズ

1980年のヤキント社の平箱ゲーム。
ヤキントの平箱と言うと、パンツァーとアーマー、ザルゴスロードなどが有名。他にもたくさんありSF/Fゲームも少なくない。
シューティングスターズは、その中でもボックスアートの美しさに定評がある宇宙船戦術戦闘ゲームである。
このゲームは二次元マップを使用し、一人のプレイヤーは数機の宇宙船を操作する。宇宙船1機ごとに操縦コンソールシートがあり、そこにマーカーを配置して移動をプロットする。昨日の画像がそのコンソールの主要部分になる。
1ターンは全部で18のフェイズに分割され、各フェイズごとに、右旋回、左旋回、加速、射撃のアクションを実行できる。ターン開始時に射撃以外の行動は全てプロットしなければならない。その時に、該当フェイズの該当アクションにアクションマーカーを配置してプロットする。筆記用具を用いないプロット方式は珍しく、ちゃんと機能するものは貴重なので一見の価値がある。
各宇宙船には全部で18個のアクションマーカーが与えられており、これが1ターンに実行できるアクションの上限になっている。また、これがベーシックゲームではダメージマーカーになっていて、1ダメージごとに1アクションマーカーが失われ、できることが制限されていく。射撃もアクションなので、移動に全部アクションを使わないでおいて、発生しそうな射撃機会分をキープしておく必要がある。そういう意味ではアクションマーカーを通じたターン全体の行動をリソースマネージメントするゲームになっている。
2次元なのでマップは広すぎず、射程距離が12ヘクスと長いので戦闘は容易に発生する。ヘクスグリッドに沿ってミサイルを撃ったり、距離の二乗に反比例してレーザーの威力が急減したりしないので、ゲームとして適度に機能するようになっている。どちらかと言うと攻撃が当りやすいタイプの宇宙戦闘ゲームと言って良いだろう。
移動での大きな特徴は、ターンエンドに進行方向と速度を記録し、次のターンにこれに応じたドリフトと呼ばれる自動移動が発生する。つまり、慣性移動があり、前ターンの移動の影響が必ず残るのである。これにより宇宙戦闘らしさが表現されている。
独特のプロット方式、適度な戦闘バランス、宇宙船らしい慣性移動の組合せで、古いゲームながら今でもプレイに耐える宇宙船戦術ゲームになっていると思う。ヤキントは戦術級ゲームが特に強かった印象があるが、これはSFゲームのヤキントの成果の一つに数えて良いと思う。